猫は太陽の夢を見るか:番外地

それと同じこと、誰かがTwitterで言ってるの見たよ

最近観た映画 : 『マジカル・ガール』

 

『マジカル・ガール』

Magical Girl

5月8日に観た。

この映画の印象を一言で言い表せば、不穏。それに尽きるだろう。

Googleの画像検索で「magical girl 」と入力すると、検索結果には『魔法少女まどか☆マギカ』とか『美少女戦士セーラームーン』とか『アイドル魔法少女ちるちる みちる』とか『魔法 中年 おじまじょ5』とかが上位に出てきて、その結果はどの言語環境設定においてもたいして変わらないのだが、こうして見ると少なくともネット上ではmagical girl=魔法少女のイメージは日本のポップカルチャーのそれと直結しているらしいということが感じ取れる。

そういった日本的なポップでカワイイ「魔法少女」イメージとはおよそかけ離れたところにあるのが映画『マジカル・ガール』である。

 

ここで最近のスペイン映画作品と比べながら感想を書いたりするとカッコイイのだろうが、あいにくそちらの知識は持ち合わせていない。なので、自分にとって身近な日本のアニメとの関連で書いてみる。

 

カルロス・ベルムト監督は、『マジカル・ガール』における日本の作品からの影響について、『魔法少女まどか☆マギカ』のダークな部分にも影響を受けているとインタビューで述べている*1

まどマギ』の作中では、キュウべえが「魔法少女」の設定について「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?」「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」と言及する台詞があった(アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』第8話「あたしって、ほんとバカ」より)

『マジカル・ガール』では、白血病の少女アリシアは、魔法少女のようにいろんな姿に変身したい、魔法少女ユキコのコスチュームが欲しい、そして13歳になりたいという願いを持っている。しかし余命幾許もない彼女にとってそれらはどれも難しい願いである。

アリシアの父親ルイスは娘の願いをなるべく叶えてやりたいが、多額の資金を工面出来ずに苦悩し、結果偶然出会ったバルバラを脅迫する。

現在は精神科医の夫に養われているバルバラは、ルイスから大金を要求されると裏社会とのつながりを利用した自己犠牲によってそれを解決しようとする。

映画の冒頭では少女時代のバルバラがマジック(手品)で教師を挑発するシーンが映し出される。元教師ダミアンはバルバラとの関係から刑務所で10年間の服役をしており、そして出所した今も彼女のことを恐れているが、彼らの間に過去いったい何があったのか映画の中で具体的に明かされることはない。

キュウべえの台詞と照らし合わせるならば、「魔法少女」に当たるのはアリシア、「魔女」に当たるのはバルバラと言えるだろうか?

 

 「魔法少女」は己の願いを自らの力では叶えることは出来ない。願いを叶えた「魔女」は結果的に破滅をもたらす。

「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

やがて魔女になる。この言葉がこんなにも不穏に響く作品もなかなかないだろうと思う。

 

型にはまらない物語は奇をてらったふうにも受け取れるが、海外で日本文化がこのようなかたちで受容されているというだけでも興味深い。

それら奇抜な要素を抜きにしても、ワンシーンワンシーンの緻密に計算された画面の美しさは視覚的に十分な満足感を与えてくれる。

 

 

アニメ『CLANNAD』を見た話

 

雑文。

アニメ『CLANNAD』『CLANNAD~AFTER STORY~』を見たのは昨年の秋ごろであった。

さんざん語られたこの作品に関して今更感のある視聴だったが、それをこのタイミングで記事にするのもかなり今更感がある。

 

しかし実際に全話通して視聴してみて、こんなにも幻想的で都市論的示唆を含む作品だとは思っていなかった。

原作ゲームは未プレイなのだが、アニメ『CLANNAD』(第1期)および『CLANNAD~AFTER STORY~』(第2期)の物語のテーマの大きな骨子となるキーワードは、ひとつに、変わるものと変わらないもの(そして変わらずにはいられないもの)であるだろう。

そのことは、第1期冒頭の(そして折に触れて繰り返される)古川渚の劇中劇の台詞にも明示されている。

「この学校は好きですか?私はとってもとっても好きです。でも、何もかも変わらずにはいられないです。楽しいこととか嬉しいこととか全部、全部変わらずにはいられないです。それでもこの場所が好きでいられますか?」

それに対して主人公・岡崎智也は次のようにこたえる。

「見つければいいだろう。次の楽しいこととか嬉しいことを見つければいいだけだろう。ほら、行こうぜ。」

この何気ない応答の台詞は今後のストーリーにおいて他でもない智也自身が痛感することになる。

 

都市論的には、郊外の再開発時期と主人公の成長の対比がある。

主人公の心情と舞台となる町。

両者の変化が連動するストーリー展開。

物語の舞台となっている町はさして大きな建物もなく住宅の立ち並ぶ郊外だが(そしておそらくはすべてのロケーションに“聖地”となっているモデルがある)、田舎から出てきた中学生が都会的だと感じる程度には繁華で(第1期春原兄妹編で言及される)、休日に若者がショッピングを楽しむことのできる規模の商店街や不良がたむろするような歓楽店の並ぶ区画もある。

だが、ひとの噂が瞬く間に広がってしまう程度には小さな町(実際、第2期で主人公の父親が警察に捕まった際には即日彼の働き口に影響が出ている)。

第1期冒頭では空き地の光景が目立ち、いかにも何もない町が特徴的に、しかし取り立てて強調されることなく描写される。

それはOPで曲を背景に流れていく断片的な町のショットからも印象づけられる。

一方、主人公が高校を卒業し、就職し、家族を見つけていく第2期では、緑地に大きな病院の建設される話が取りざたされ(物語終盤ではすでに病院が出来上がっている)、通学路の雑木林はファミリーレストランになり、学園編の主要舞台となった高校の旧校舎が取り壊されるという話が出ている。

それら町の変化に対する主人公の動揺。

周囲と自分自身の変化をどのように折り合いをつけ、受け入れていくのか。

物語が進むにつれて都市論的な演出が目立っていくが(とくに第2期において)、京都アニメーションの緻密なロケーション描写がそれを際立させている。

 

幻想性という点では、ひとつに、現実世界とそれに並行する隠された幻想世界のようすがたびたび差し挟まれるストーリー、またひとつに、幽霊とも生霊ともつかない自在なキャラクターである伊吹風子の存在の、おおきく2つが挙げられるだろう。

どこまでが夢でどこまでが現実なのか。

そしてどこまでがこの世界で起こった出来事なのか。

それがずばりはっきりとは示されず、曖昧な部分を残すような見せ方が不思議な世界観を成り立たせている。

 

最終回では智也と渚と汐、そして町のひとびとの幸せな日常が映し出されるが、その光景がセリフなしのダイジェストで流れるところも幻想的魅力を増す。

――果してこの幸せな世界は本当に起こった出来事なのだろうか?

そういう不安がよぎる。

もちろんその後の「総集編」において、主人公の回想というかたちで最終回ラストはきちんと悲劇が回避された世界線であることが語られるものの、いったいどこまでが“ありえた世界”なのか? という独特の余韻を残す構成となっている。

物語の締めくくりを飾るのが、現実世界パートにおいてもっとも幻想度の高いキャラクターといえる伊吹風子の再登場というのも象徴的だ。

しかもそのラストはかつて幼い渚が危機に陥ったことのある緑地跡に建てられた病院の場面であるというのも、この物語が何を乗り越え、受け入れていく話であったのかを端的に指し示している。

物語の登場人物たちはみな不良だったり病弱だったりと、何かしらコミュニティからつまはじきにされていたり疎外感を感じているが、一貫してそれをすくい上げようとする視点にもグッとくる。

 

 

CLANNAD Blu-ray Box

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【備忘録】今期見たアニメをだいたい一言で振り返る2016冬

 

面白くないアニメなどない。

――所詮は自分が見たいものしか見られない、とも言う。

 

今期見たアニメについて。

順番はだいたい放映順。

 

 

・『かみさまみならい ヒミツのここたま』 

TVアニメ「かみさまみならい ヒミツのここたま」OP主題歌「ころころここたま!」/ED主題歌「ここんぽいぽいここったま!」

TVアニメ「かみさまみならい ヒミツのここたま」OP主題歌「ころころここたま!」/ED主題歌「ここんぽいぽいここったま!」

 

視聴継続中。たとえば、帰り道で見つけた捨て猫を放っておけずに拾ってきてしまって、親にバレたら怒られると分かりつつも隠して面倒を見ていたがいつバレるかと思うと気が気ではない...みたいな展開はよくあるが、それがクール通してずっと続いている感じ。つらい。

子供向けアニメに感情移入し過ぎだろwwwと思うかもしれないが、とくに第17話「こころのヒミツ」の欝具合といったらない。はやくこころちゃんを解放してくれ! と叫びたくなる。つらい。

 

・『おそ松さん』

おそ松さん 第四松 [DVD]

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最近は昔の作品のリメイクばかりだと嘆かれる昨今だが、元の作品がどうだとかがわりとどうでもよくなってくる突き抜け方は素晴らしい(でもこれは原作を充分にリスペクトしていないとできないよなあ)。

 

・『弱酸性ミリオンアーサー』

弱酸性ミリオンアーサー

弱酸性ミリオンアーサー

 

視聴継続中。ちょぼらうにょぽみ作品はアニメでしか見たことないうえに原作ゲームも未プレイなのだが、少なくともミリオンアーサーがハチャメチャ不条理ギャグゲームでないことだけは分かる。

 

・『プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ

ストライドという架空のスポーツを題材にした部活アニメ(第1話の感想が「なんだか少年ジャンプの読み切りスポーツマンガみたいだ」だったのはナイショだ)

選手に対して奈々ちゃんの存在感が薄すぎないかとも思ったが、それなりに悩み葛藤する話も組み込まれているし、視聴者のニーズを考えるとたぶんこの配分が妥当なのだろう。

徹底したさわやかイケメンシリアスストーリーにしてもよさそうなところ、運動部でありかつ将棋部でもあるとか、メンバーにコメディ要員コンビがいたりとか、ライバルがアイドルグループだったりとか、ところどころ「堅さを崩す」要素があったのが視聴ストレスを緩和させていた。

 

・『無彩限のファントム・ワールド』

ライトノベル原作アニメにおいて、パンデミックかそれに準ずる世界規模の異変によって以降の若い世代に特殊能力が発現する...という設定は『ブラック・ブレッド』('14)や『学戦都市アスタリスク』('15~16)などでも見られる、いわゆる「よくある設定」だが、「人外の存在が人類を脅かすというよりもそれらが現れる(様に見える)のは人間の側にこそ原因がある」という世界観が面白いし、単純に「世界の脅威に立ち向かう」系の話にはなっていない点では最近のラノベ原作のバトルアニメとは異なる。

が、だからそこが面白い点だとは言ってない。

おおまかには全体バカアニメであって、ストーリー云々よりもほぼ京都アニメーションの作画で魅せているところがある。

途中からマジメ路線になる可能性もあると予想していたがそんなことはなく最後までわりと同じ調子だった。


・『ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜』

ミステリー小説が原作のアニメだが、基本的に1話の中で事件が解決するライトミステリーであるのであまり気負いすることなくさくっと楽しめる。

全体通してキャラクターがかわいく、原作があるだけあってストーリーもしっかりしていてあからさまにここがダメというのではないが、正直に感じたところを述べてしまうと、何かが飛びぬけた印象もあまり受けなかった(だからこそ安心して見られるというのもあるが)。作画はP.A.WORKSらしく安定していていい。

とくに#09「アスモデウスの視線」などに顕著だったが、事件の概要を聞いた春太がほぼ口頭で真相を説明するだけみたいな流れはどうもなあという感じ。お前は事件解決マシーンか。せっかくアニメ化したのだからどうせならもっと画面に動きがほしいところである。話が1話解決型であるゆえに展開が詰め込み気味なのもちょっと気になる。

つらつらとネガティブな意見ばかり述べてしまったが、そういう感想が出てくるのが何故かと考えれば、ひとつにどうしても最近の類似した他作品と比べてしまうからだろうと思う。

ミステリーアニメで言えば昨年は『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』もあったし、吹奏楽部ものであれば『響け!ユーフォニアム』を見たばかりだ。どこが似ているというのでもないがなんとなく『氷菓』('12)っぽい印象も強い。

それらの作品に比べて、ミステリーとしても部活ものとしても中途半端な感じは否めない。

ただ、ミステリーアニメとして特徴的だったのが、謎解きはするけど当事者の本当にプライベートな部分についてはあえて明かさずぼかしたままにする点。これはともすればなんでもかんでも暴露しようとするこのジャンルにおいては比較的めずらしく、そこは個人的には好感触だった(まあ、謎のすべてが明かされないのでもやもやしたものが残りはするのだが)

最終回のエンドロールの演出が好きだ。


・『NORN9 ノルン+ノネット

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作品の雰囲気だけでいえば個人的に今期イチオシ。いや、ホントに。

とくに、特殊な能力を持った少年少女たちが謎の空中要塞に乗って旅をするというSFストーリーがツボ。

地上からはるかかなた上空に浮かぶ未来的超文明的な巨大建造物。実況ではラピュタっぽいというツイートを見たが、どちらかというと『θ 11番ホームの妖精』の東京駅11番ホームを連想した。こういうギミック好き。

特殊な空間に集められた特殊な境遇を持つ男女の閉鎖的な関係が「旅」という明確な期限付きの中で行われているシチュエーション。群像劇というか複数のキャラクターがごちゃごちゃと動いているのは単純に楽しい。

SFストーリーが好きだと言ったが、じゃあこの作品がSFとしていい作品かというとそれとこれとは話は別で、たぶんこれはあまりうまくいっていない部類だ。

能力者の個々の能力の理由や詳細とか、ノルンの動力源とか、アイオンのシステムの原理とか、戦火に包まれた世界を救うために文明を『リセット』するというがどの程度危機的状況にあるのかとか、結局ヒヨコさんとは何者なのかとか、アニメを見ているだけでは設定的にまあいろいろよくわからない点は多い。

もとが複数ルートのある恋愛シミュレーションゲームを一本のシナリオにまとめているのでストーリーも必ずしもなめらかでない。はたして結賀史狼は死ぬ必要があったのか?

...とぶつぶつ言ってみたが、当初から推しだった七海ちゃん・宿吏さんペアの理想的なラストを見られたのでそれだけでもだいぶ満足です。七海ちゃんかわいい。

あと、回ごとの個人的ベストは、7「うつつの夢」。

童話をモチーフに加賀見一月の見せる夢の世界が描かれたが、あれだけ見ると最高に意味がわからない。一方で、クール通して見ると折り返しでもあるこの回の夢の中で起こったことがそれぞれのペアの恋愛的な転換点になっていて重要な意味を持つのだが、そういう重要な回をギャグ回にしてしまうあたりクソアニメ感がある。

 

・『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-  第1クール』

80~90年代臭がヤバい。『機動警察パトレイバー 』('88,'89)、『勇者警察ジェイデッカー』('94)、『逮捕しちゃうぞ』('96)、『Get Ride!アムドライバー』('04)、『TIGER & BUNNY』('11)...などなどの警察もの、ロボものの要素を全部載せてきた感じだ。

前半はあからさまな懐古趣味に過ぎるきらいがあったが、そう考えるとノスタルジーの処理の仕方ではやはり『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』の卓越さが際立つ。

後半のミュトスとの対決に迫っていく展開も熱かったが、前半のネタ性の強い個別の事件もきっちり伏線になっていたのはなかなか圧巻。

2クール目が楽しみ。

 

・『少女たちは荒野を目指す』

「少女たちは荒野を目指す」Vol.1<初回仕様版>【Blu-ray】

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リア充感がヤバい。もちろん個人的な好みはあるだろうけど、ものづくりをしている話のはずなのに登場人物たちが具体的に何を作っているのか? というところがいまいち見えてこなかった。

じゃあ何がよかったかって、第6話「これがいわゆるサービス回というものね」のメタネタなんかはけっこう好きだったが、あれもやり過ぎればただの『冴えない彼女の育てかた』になるしなあ...。

原作ゲームの発売前の放送ということなので販促の面も多分にあったと思うのだが、ヒロインの攻略ルートも各回ずいぶん急ぎ足だったし、いまいちどこをアピールポイントにしているのかが分かりにくかった。

原作:タカヒロ、監督:佐藤卓哉、ゲーム版シナリオ:田中ロミオという布陣を見てこちらが勝手に期待値を上げていた感もある。

ストーリーが随分サクサク進むなあと感じて公式サイトを確認すれば原作ゲームは社会人編があるのねなるほど...と思っていたら社会人編はアニメではやらないのかよ。

高校生がゲームを作るアニメは秋に『ステラのまほう』が控えているのでその時期になったらまた比べられることになりそう(こちらは同人ゲーム制作の話だけど)

ED曲が好き。


・『おじさんとマシュマロ』

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WEBでたまに見かける面白マンガ程度の認識だったのだがまさかアニメになるとは。

 

・『僕だけがいない街

かなり面白い。原作は未読だが、展開や構成はやや異なるらしい。

物語の主要舞台を東京ではなく地方都市を舞台にしていることで作品全体に漂う逃げ場の無さや閉塞感を強めている。アニメではとくにOPのラスト、タイトルロゴが重なる雪が舞う冬の苫小牧の風景。原作では実在の施設がそれと分かることを避けているというが、あえて製紙工場の煙突から白い煙が棚引く雪景色を映したことによる寂寥感は秀逸。

アニメの放映と原作コミックの完結、実写映画の公開を重ねてくるメディアミックス商法にはおのれKADOKAWAという感情しか湧かないが、コミックス8巻分の内容を違和感なくそして充分に納得のいく形でまとめあげたストーリー構成の妙には素直に賛辞を贈りたい。

 

・『ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション』

第1話の冒頭、ゲーム内世界での冒険物語かと思いきやまさか現実世界でオンラインゲームをプレイするアニメだったでござると思って見てたらやはりゲーム内世界の話だった。

それらしい伏線は、謎めいたキャラクターである鈴来アイカの存在によってほのめかされていたものの、作品の雰囲気からそれらの伏線を正直に受け取っていいものかそれともブラフなのかが判断し難かった。

ありていに言えば、鈴来さんがただのゲームに入れ込み過ぎた痛いひとである可能性をギリギリまで払拭しきれなかった。そういう空気を持った作品だった。

現実世界の学園生活をじっくり描いたからこそ最後に主人公が守るべきものを想って戦う展開に説得力が出るというものだが、それにしては最終回はわりとあっさりしていたというかやや駆け足だった気もする。

 

・『だがしかし』

今期はフラットな日常系といえるアニメがあまりなかったので息抜き的な安心感があった。田舎を舞台にしたコメディのほのぼの補給アニメというか。

一話の中で何回か「で、」のセリフとともに差し挟まれる場面転換の幕間のアイキャッチが毎回違っていたのも楽しみのひとつだった。

一方で、原作は飛び飛びかつ部分的にしか読んでないのだけども、ではアニメがマンガのインパクトを超えた何かがあったかというとなんとも微妙。

印象に残ったのはサヤ師回。とくに、第6話「超ひもQとおはじきと…ときどきまけんグミ」、第7話「夏祭りとほたると…」の幼馴染ヒロインのかわいさの見せ方はよかった。
原作の駄菓子要素をもっとアニメ的に活かす方法はないものかと勝手に考えながら見ていたが、そもそもが日常会話の中に駄菓子の説明が長々と入るのが唐突でおかしさを誘うというギャグがメインの作品であるのでこれ以上ネタを足すのもくどくなりそうだしなあ...などと思うとけっこう難しいなこれ。

 

・『おしえて! ギャル子ちゃん』

ウルトラスーパーアニメタイム。原作マンガの独特な配色が再現されなかったのは少し残念だが、あれをテレビ画面でやられたらきっと目がチカチカして仕方がなかったろうとも思う。

ギャル、オタク、お嬢様などの、一見した印象で役割を振られることに疑問を持ったからこそ彼女たちはその名で呼び合うのだという話をラストに持ってきたのはなかなかうまいなあと思った。


・『石膏ボーイズ』

アニメなのにメインキャラが微動だにしないという。

実験的な趣向がいかにも「ウルトラスーパーアニメタイム」らしい。

 

・『旅街レイトショー』

旅街レイトショー [DVD]

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ウルトラスーパーアニメタイム。全4話と知らずに見ていたのでもっと見たかった気も。 

第三夜「夏祭り」が好きです。

 


・『ディバインゲート』

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原作ゲームのことはほとんど知らないのだが、CV緒方恵美のナレーションポエム含めて中二的雰囲気を堪能できるという点ですぐれている。

登場キャラクターが多いのはゲームの既存ユーザーを意識したものなのだろうが、終盤はそれらのキャラクターを処理しきれずにストーリーが混乱していたように見えたのが残念。

基本的に1クール通してシリアス路線だったが、そのなかで第5話「まつろわぬ民」のクイズ番組を模したコメディパートだけが妙に浮いている。ああいう一見意味わからん展開は好きなのでもっとやってくれてもいいのよ。

 

・『紅殻のパンドラ』

実は『攻殻機動隊』は詳しくないというかまったくの未見なんですけど、そういったシリアスSF世界が背後にあることをしっかりと感じさせつつ、前景ではあくまでガール・ミーツ・ガール・ストーリーをメインに据えるという、他のアニメではあまり見ない高度な技を見せつけられた気がする。

Aチャンネル』('11)や「咲-Saki-」シリーズ('12,'14)、「きんいろモザイク」シリーズ('13,'15)等のStudio五組制作であるから女の子がキャッキャウフフしているシーンに不安はなかったが、その日常系のテンションと『攻殻機動隊』的なマジなヤツらが同じ画面の中に同居しているのはなんとも不思議な感じだった。未読だがきっとこれは原作がよいのも多分にあるのだろうなと思う。

デフォルメキャラの提供絵やEDが毎回違っているのも面白かった。


・『霊剣山 星屑たちの宴』

なんだろうこの...なんだろう...。何が面白いのかよくわからないけども何故か見続けてしまうこの感じ。

ギャグが基本なので作画のゆるさはあまり難なく見られたが、終始妙な説明口調なのが気になる。

作品を理解するために何か前提となる知識を求められているのをひしひしと感じてこれが文化の壁なのかと最初は思っていたが、間の悪さや翻訳台詞のぎこちなさから察するにどうもそれだけのせいじゃないな?

台詞等のノリは同じくディーン制作の『この素晴らしい世界に祝福を!』にかなり近い気がするのでやはり翻訳の問題は大きいのではないだろうか。

ていうか2期やるってマジか。

 

・『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 第2クール』

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炎龍編がメインになるのかと思ったが、そこは意外とさくっと終わった。

これ、小説はともかくアニメとして見た場合、話の本筋というかキャラクターがどう動いているかみたいな部分はどちらかといえば枝葉であって、「魔法が遣えないから物理で殴って勝つ!」という本来出オチギャグであるものを現実の軍事組織をモデルにしてそれなりに考証を加えてやってみるとどうなるかというのを見るのがひとつの楽しみ方であると個人的に理解した。というか小説ではあったであろう情緒的なストーリーのフォロー部分をアニメではだいぶ省いているのではないだろうか。

ちょっと自衛隊という組織を持ち上げすぎな感はあるがミリタリー知識があればまた楽しみ方も違ってくるのだろうなと思う。

 

・『昭和元禄落語心中

語りで見せるアニメというのはめずらしい。演技から声優の熱意が直に伝わってくるような作品だった。石田彰山寺宏一はすごいなあというなんのひねりもない感想しか出てこない。感嘆。

第1話はOVAの再編集版だったそうだが、実質2話分の尺でコミックス1・2巻を消化し、第3~5巻をメインにじっくりやるという構成もぜいたくでよかった。

どこをフォーカスしても見どころしかない。

ED曲が歌でなかったのも毎回視聴後の余韻を充分に残していた。

全編にわたる斜陽感がとにかく切ない。

次期はだいぶ雰囲気が変わってきそうだが今から楽しみ。

 

・『ブブキ・ブランキ』

マジでバトルしかしていないバトルアニメ。

つかの間の休息とか日常パートをほとんど挟まずにバトルシーンをバトルシーンでつないでいて画面につねに勢いがある。

個々のキャラクターも魅力的だし、CGの見せ方もすごくうまいと思う。

オリジナルアニメであるので当然、世界観だとか前提となる情報を持たない状態で見るわけだが、ところがこのアニメ、そういうことを話のなかでほとんど解説してくれない。なにしろ主人公たちはずっとバトルしているので細かい説明をしている余裕がない。ただ、とにかく話に勢いがあって途切れることがないので継続して見てしまう。

「伏線を張るだけ張ってロクに回収しねーな」と思って見ていたが、最終回で続編が発表されたときは意外というかやはりという気持ちだった。

第2部では散らばった設定をきちんと回収してくれるものと期待したい。

 

・『ラクエンロジック』

冒頭、女の子たちがカードゲームするアニメかな? と思って見てたら違った。あれはあれで別枠で見てみたいんだが。

全体的に絵柄が丸っこくてキャラクターがかわいらしいのがいいが、バトルメインの展開に対して今一つ緊張感が出ないのは難点ではある。

最終回で主人公が上条さんみたいなことになっていたけど次シリーズが準備中とのことなので今後のストーリー展開はどうなってくるのか。

 

・『ナースウィッチ小麦ちゃんR』

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いまさら過去作品をリメイクしてもどうなんだろうかと視聴前の期待値は低かったのだが、マジカルてにあったようなネットスラングが飛び交うどぎつさはあまりないものの、小ネタが効いていて存在充分に面白かった。

というか伊達京介出てこないしもはや『ソウルテイカー』の面影微塵もないなと言う感じだ。

前シリーズに比べて毒気が抜けてつまらないという向きもあるかもしれないが、個人的にはこれはかなり好きな部類。2000年前後の子供向けアニメを見ているような微妙に古臭さを覚える雰囲気もたまらない。

 

・『大家さんは思春期!』

チエちゃんがかわいい。

女の子の前髪の色を毛先に向かって薄く透けるようにグラデーションをつけている描き方が、髪の毛の幼く細い感じをよく表していてちょっと他であまり見ないふうで秀逸。

OPが『めぞん一刻』を意識しているのもいい。

あと、チエちゃんがかわいい。

 

・『Dimension W』

岩原裕二の絵は線が太くてごつごつした印象があったのだがそれと比べるとアニメはかなりスタイリッシュになっていた。

後半はイースター島編にまるまる当てられていたが、前半もロボット少女との邂逅、高セキュリティの豪邸への潜入、山奥の洋館での事件...と毎回違った趣向があって飽きさせなかった。

ネタに走らず、また奇を衒わないひじょうにオーソドックスなつくりで誠実な印象を受ける(でも、原作はかなり端折ってるのな)

EDがさわやかで好き。

 

・『灰と幻想のグリムガル』

全編にあふれる静謐な空気や小説の文章が浮かび上がるような演出は感服。

ライトノベルのアニメ化としては実に行き届いたつくりだったと思う。

作品としてやりたいこととしてはたぶん、ライトノベルやなろう小説のゲーム的世界観へのカウンターであるのだと思うが、『この素晴らしい世界に祝福を!』と放映時期が同じだったのはタイミングがよかったとしか言いようがない。似たような設定でもアプローチが違うと全然別ものになるのだなと実感。

ゴブリン(CV:ゴブリン)がいちばん笑った。

 

・『シュヴァルツェスマーケン』

ゲーム『マブラヴ』の続編『マブラヴ オルタネイティヴ』のスピンオフ企画のライトノベル原作アニメという若干ややこしい経緯を持つアニメ。一応ラノベ原作枠だがそういう語られ方はあまり目にしなかった気がする。

BETAの大群を遠距離攻撃で薙ぎ払うのも爽快感があっていいが、それよりCGのごついメカが近接戦でガチガチやり合っているほうが見ていて楽しかった。

あと、意外と目に焼き付いているのが背景のベルリンの市街地。一貫して薄暗く灰色の街並みは、現地ロケまではさすがにしていないと思うが、他のアニメにはない独特の雰囲気を演出するには充分な存在感を放っていた。

ところで感想を書くためにあらすじを見返していて気づいたが、アニメオフィシャルサイトのストーリー一覧に8話までしか出てないのはどうしてなのか。

 

・『最弱無敗の神装機竜』

テンプレテンプレといわれているし実際お約束が多いのは事実なのだろうが、原作小説からアニメ映えする場面を選りすぐった結果という感じもしないではない。

同じストーリーを基にしてもいちゃいちゃやデートシーンでなく古代遺跡の冒険パートのほうにに比重を置くとまただいぶ印象が変わるのだろうなと想像しなくもなかったが(実際、episode 08「幻神獣の目覚め」・episode 09「約束」あたりはダークファンタジーチックな雰囲気があった)、ここまでベタベタなハーレムエンドのアニメもありそうであまりないのでこれはこれでいいのだという感慨。

原理のよくわからないメカが空中バトルでぐりぐり動くのは見ていて楽しい。

総じて作画がよいのとキャラクターデザインが魅力的。

 

・『てーきゅう 第7期』

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終わってしまった...。 

 

・『魔法少女なんてもういいですから。』

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あきらかに『魔法少女まどか☆マギカ』を意識しているんだと思うが、原作コミック第1巻が発売する前にアニメを始めたところはマーケティングの妙か。

今後、まどマギのカウンター的なアニメはもっと出てくるだろうし時流に後れをとるまいという意志を感じる。

 

・『蒼の彼方のフォーリズム』

今期のエロゲー原作枠。『プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ』と並ぶ架空のオリジナルスポーツを題材とするアニメ。美少女アダルトゲーム原作アニメは好きなのだが、やはり一時期の流行に比べると少なくなったし今期はこれだけなので貴重。

恋愛シミュレーションゲーム原作のはずだが本編に恋愛要素はかなり薄めというかほぼ皆無で、純粋な青春スポ根アニメとして楽しめた。ラストのオチも王道でよい。

『プリスト』もわりとそうだったが、選手サポート役プレイヤー主人公の影が薄くなるのは仕方がないのか。

キャラクターが単体で飛ぶシーンをCGでぐりぐり動かすのは『放課後のプレアデス』でも見たが今後増えてくるのだろうかなという感じ。

あまり気にしてなかったが制作会社GONZOじゃんね。

 

・『この素晴らしい世界に祝福を!』

ものの出るタイミングというか、近事的な印象の重なりというのは意外と重要であろうと思う。

昨年、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』を見て、『オーバーロード』を見て、そして今期に『灰と幻想のグリムガル』を見ている。それらを視聴した印象の積み重なりにおいて成立するギャグというものがあるのだ。

『この素晴らしい世界に祝福を!』に見られるパロディは基本的にはファンタジー系のライトノベルや昨今の「小説家になろう」作品の流行を反映したものではあると思うが、RPG的世界観であることを隠さない感じの演出は『魔法陣グルグル』を思い出させるし、勇者としての実力はないけど運で乗り切る主人公というのは『とっても!ラッキーマン』に通じるよな、などと連想をめぐらせることができたのもまた楽しかった。

 

・『この男子、魔法がお仕事です。』

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ウルトラスーパーアニメタイム『旅街レイトショー』の後枠。絵柄がなんとなくBLっぽいな..と思ってたらBLだった。

モザイク画を見ているような美麗な画面づくりに実験的趣向を感じた(それに対してストーリーはかなりお約束だったところでバランスが取れているか)。

「魔法がお仕事」というタイトルながら主人公が魔法を使って仕事をしている場面はほとんど描かれず、全編ほぼ人間関係や仕事外のデートシーンで占められているのは、偏見だがいかにも“女子向けっぽい”という印象を受けた。

TV放送されたBLアニメというと『世界一初恋』と『純情ロマンチカ』くらいしか寡聞にして知らないのだけれども需要的にもっとあってもいいんでないかと思うんだがな、やっぱり難しいのかな。

 

・『魔法つかいプリキュア!』

視聴継続中。いつになく百合百合しいプリキュア

 

・『彼女と彼女の猫 -Everything Flows-』

ウルトラスーパーアニメタイム。アニメ原作アニメ。新海誠作品からギラギラした自意識と毒を抜いてしまった感じがする。

全体的に淡くやわらかい色調やデザインでかなりかわいらしい。

 

 

 

 

 一言とは。

 

 

 

最近観た映画 : 『リザとキツネと恋する死者たち』、『リップヴァンウィンクルの花嫁』

 

 

『リザとキツネと恋する死者たち』


映画『リザとキツネと恋する死者たち』日本版予告編

4月1日に観た。

あらすじ:舞台は70年代のブダペスト。元日本大使未亡人マルタの専属看護士を務めるリザは狐の呪いに憑かれていた。恋に恋するリザは30歳の誕生日に出会いを求めてハンバーガーショップでセットメニューを注文するがそのあいだにマルタが急死してしまう。日本の昭和歌謡シンガーの幽霊であるトミー谷はリザの唯一の友人であったが、嫉妬深さから彼女に言い寄る男たちを次々と呪い殺していく。全裸刑事ゾルタンは悪霊トミー谷の魔の手から彼女を救うため無私の愛でアパートの壊れた備品を修理するのだ!

 

この映画のなかの日本のイメージは徹底して複製物を介して結ばれた幻想として立ち現れている。

作中では微妙にズレた日本のイメージが描かれるわけだが(もちろん分かったうえでわざとズラしている)、劇中、そのイメージソースとして用いられているのは日本の三文小説と博物館のパンフレットに掲載された浮世絵の図版、そしてトミー谷の亡霊である。

リザは自分が狐の呪いに憑かれていると恐怖するが、それは浮世絵の図版とそこに付された解説から得た情報によって構築された像であり、直接的に狐の妖怪が猛威を振るう場面は描かれない。

また、繰り返し流れるトミー谷の曲「ダンスダンス★ハバグッタイム」の不安定なメロディーが終始おかしみと不穏さを誘うが、実際のところ彼はラジカセから流れる自分の曲に合わせて踊るのみで自ら声を発することは出来ない(もっと言うと、幽霊の姿以外でトミー谷の像が出てくるのはリザの部屋に張られたポスターの半身像のみであり、やはり直接的なイメージは登場しない)

重要な部分をつねにメディアによって複製されたイメージが媒介をしている。

偏った想像力によって増幅された幻想(虚構)が現実を侵食していく。

それを映画で見ているというある種の入れ子構造。

メタとネタをひじょうにうまく練り込んでいるという点でたいへん好みの作品だった。

 

...とまあ、それらしいことを言ってはみたものの、映画のなかでやってることは最初から最後までナンセンスなギャグなのであって決して真に受けてはいけない。

 

 

 『リップヴァンウィンクルの花嫁』

Bride - wedding scores for rip van winkle 岩井俊二監督作品「リップヴァンウィンクルの花嫁」オリジナルサウンドトラック

4月4日に観た。

3時間の映画を見るのは鑑賞体験としてはなかなかたいへんだが、全編かなりテンポよく進むので少なくとも退屈はしなかった。

流されるままにつくりごとにつくりごとを重ねていって、みるみるうちにどうしようもならなくなっていくストーリーは、黒木華の所在なさげで危なっかしさを誘う演技もあって、とくに前半にかけてはひじょうにドキドキさせられる。だが、そこはサスペンスではないのでスリルとかアッと驚く急展開みたいなものはおそらく本質ではない。

とはいっても、場面展開はなかなかに目まぐるしく(中盤~終盤にかけてはそれなりに落ち着くものの)、180分間のあいだにほぼ10~15分間隔で場面がころころ変わっていく。そして綾野剛の衣装もそのたびに変わる。

そのせいもあって、綾野剛演じるキャラクターだけが、まるで観客の側に立って俯瞰的かつ自由に場面を行き来しているように見えてくる。

 

もっと何か書こうと思ったのだが、パンフレットに複数の著名人のコメントが出ていて感想らしい感想はそこでだいぶ出尽くしている感があり、それを見てしまうと正直あえてここに書くようなことがあまり思いつかない。そこまで公式がカバーしなくてもいいのよ。

 

綾野剛が強キャラすぎて何をやっても嘘くさく見えてしまうのだが、しかし同時に詐欺師役がめちゃくちゃ似合う役者だという発見もあった。

いわゆる岩井俊二監督作品らしい、2人の若い女性がキラキラした映像のなかで楽しげに遊ぶ画面の美しさはそれだけでも見る価値があると思わせる。

 

 

 

最近観た映画 : 『劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ~逆襲のミルキィホームズ~』、『オデッセイ』、『ガールズ&パンツァー 劇場版 4DX』

 

 

『劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ~逆襲のミルキィホームズ~』

激情!ミルキィ大作戦

3月1日に観た。 

物語はミルキィホームズが開幕早々トイズの力を(群馬で)失うところから始まるのだが、その理由が「雷に打たれたから」で何か強大な敵に力を剥奪されたとかではない。

これはTVシリーズの導入部に倣ってあえて劇的で盛り上がるような展開を外しているわけで、そう言う意味でタイトルの「逆襲のミルキィホームズ」がそもそもギャグになっていると解釈できる。

他にも、モリアーティ教授復活の伏線が実は第1期、2期の頃から仕込まれていたというネタやTVシリーズに登場したアイリーンとその父親が本筋にはさほど重要でないにもかかわらずちょくちょく出てくるところ等、かなりTVシリーズの1・2期ファンを意識したつくりになっている。

...なのであるが、TVシリーズを前提とした劇場版にありがちな回想シーンはほとんどなく、それらしいものはTVシリーズの映像がモリアーティ教授復活にともなって生じた時空の歪みのなかで背景で断続的に流れる部分くらいしかない。ある意味で総集編的な劇場版を皮肉るような演出になっているあたりにこの作品の性格がよく表れているともいえようか。

 

 『オデッセイ』

Songs from the Martian

3月14日に観た。

ネット上の評判を原作の情報込みでさんざん目にしたあとでの鑑賞だったが、なるほどダイナミックなアクションシーンだとか何かどんでん返しの劇的な展開だとか感涙必死の大恋愛だとかは一切ない。

淡々とした作業の積み重ねがあるのみである。

しかしその作業のひとつひとつが大掛かりでチートなので、最強主人公が敵を次々と薙ぎ払う場面を連続して見たような爽快感がある。

 

『ガールズ&パンツァー 劇場版 4DX』

ガールズ&パンツァー 劇場版 (特装限定版) [Blu-ray]

3月18日に観た。

作品として見るのは2回目、4DX鑑賞はこれが初。

ガルパンは繰り返し繰り返し劇場に足を運んでいるファンがもはや当たり前のようになっているので感想としては何を言っても今更になるが、あらためて見るとストーリーから戦車の描写、大洗町に関するロケハンや小ネタ、個々のキャラクターの動かし方までかなり行き届いていることが分かる。

通常版における戦車バトルの音響だけでも十分体感的な迫力はあったが、4DX版ではそれに加えて多数の戦車がガタガタ揺れるのが体にじかに伝わってくる。

重要なのは、それがその他多数の戦車群の振動ではなく個々の戦車の中で登場人物たちが感じている振動としてあるという点だろう。臨場感が直接キャラクターへの共感としてつながっているのは4DXならではという感じがした。

好評価に水を差すようでアレなのだが、正直に言うとアニメ等で何かが盛大に破壊されるシーンというのが(これはジブリ映画によくあるようなテーブルの料理がひっくり返るシーンなんかも含まれるのだけれども)、何かとんでもなく取り返しのつかないことをしてしまったあとの背徳感に似た感傷を覚えて個人的にあまり得意ではなかったりする。

ガルパン世界では戦車戦に際して建物等をためらいなくぶっ壊していて、しかもそれがポジティブに受け入れられているあたりに現実の感覚との隔たりを感じずにいはいられない。

独特の世界観によって逆に現実の感覚が鮮明になってくる。こういったところがフィクションの醍醐味だなと思う。本当によくできた作品だ。

普段は映画はなるべく後ろの座席で観るとなんとなく決めているのだが、4DXについて言えば前のほうの席のほうが有利であったといささか後悔。次回からの教訓にしたい。

 

 

 

 

メモ : 『無彩限のファントム・ワールド』の「付喪神」設定について・続

 

morita1100.hatenablog.com

 

『無彩限のファントム・ワールド』第10話において「付喪神」と称される「花火玉のファントム」が登場したのでメモ。

 

花火玉のファントム

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(『無彩限のファントム・ワールド』第10話「小さいルルの大きな夢」より)

 劇中の魔女のファントムの台詞によれば「花火玉がファントムになった付喪神」。

もともとは原寸大で打ち上げ筒に収まっていたが、「一世一代のでっかい花を咲かせたい」という願いが魔女のファントムに聞き届けられ、魔女のファントムの持つペンダントの魔法によって巨大化した。

自分の願いを邪魔立てする者を排除しようと花火会場で大暴れしたが、最後はルルの説得を聞き入れ被害の及ばない高度まで上昇して爆発したことで満足したようである。

台詞らしい台詞はないものの、「ヒトハナサカセマッセー」「タマヤー」などの文句を発しながら花火会場を飛び回った。

 

しかしこの「花火玉のファントム」、はたしてこの作品的に付喪神キャラクターといえるのだろうか。

いや、なにも厳密な意味での付喪神に合致するのかどうかということを問うているのではない。

というのも、以前に登場した「 電柱のファントム」(第1話)と「警備ロボットのファントム」(第2話)は、どちらもすでに使い古されて打ち捨てられた物がファントム化していたという点で、主人公の台詞にもあったように「人間に棄てられた道具類が恨みを持って変化した妖怪」という説明が当てはまっていた。

一方で、第10話に登場した「花火玉のファントム」は、使い古されるどころか打ち上げられてすらいないわけで、本来の用途に使用される以前の状態であった。

そのあたりどうもふんわりしている気がするが、設定上の整合性はどうなっているのだろうか。

第2話で言っていた「また別の種類」の「付喪神」の範疇ということだろうか。