メモ : 『無彩限のファントム・ワールド』の「付喪神」設定について
原作は未読なのであしからず。
『無彩限のファントム・ワールド』は現在放送中のライトノベル原作アニメである。
制作は京都アニメーション。
『ファントム』――それは幽霊・妖怪・UMAなど、人々がそれまで"幻"だと思い続けてきた存在。
そのファントムに対抗するため学院に設置された『脳機能エラー対策室』。
そこに所属する一条晴彦は、先輩の川神舞と共にファントム退治に日々悪戦苦闘していた。
そんな彼らの元に、今日もまた依頼が飛び込んでくる――。
魅惑誘惑幻惑の学園異能ファンタジー。
(TVアニメ「無彩限のファントム・ワールド」公式サイト、「STORY」「INTRODUCTION」より)
主要登場人物には上記引用にもある主人公の一条晴彦とその先輩・川神舞の2人の他に、ファントムを吸い込む能力を持つ和泉玲奈、妖精のファントム・ルル、『歌声』を響かせて戦う能力者・水無瀬小糸、『脳機能エラー対策室』顧問の姫野アリス...などがいる。
『無彩限のファントム・ワールド』は、従来は幽霊や妖怪として一般に実在しないものとして扱われていた『ファントム』の存在が、特殊なウイルスの蔓延によって誰の目にも認識できるようになってしまった世界が舞台となっている。
で、第1話及び第2話において、「付喪神」と称される『ファントム』が登場した。
フィクションにおける付喪神キャラクターの例として、それらの概要をここにメモ的にまとめておこうと思う。
電柱のファントム
(『無彩限のファントム・ワールド』第1話「ファントムの時代」より)
第1話に登場したファントム。
3体一組で延々とリンボーダンスを踊るだけで基本的には無害だが、近辺に電波障害を発生させ問題となっていた。
また、電線部分から電撃を出す。
以下、第1話の会話より。
川神「あの電柱ってこの山で伐られた材木で作られたらしいの。それがファントムになって帰って来たってこと見たい」
川神・和泉・ルル「付喪神?」
一条「そう、あれは人間に棄てられた道具類が恨みを持って変化した妖怪です」
一条「昔この山では伐り倒した木を供養する踊りを踊っていた」
一条「今彼らは自分たちでそれを踊っているんじゃないでしょうか」
ルル「でもなんでリンボーダンスなわけ?」
一条「リンボー(辺獄)というのはキリスト教でいうこの世と天国の狭間の世界のことなんだ」
一条「役目を終えて昇天したいのにできない、そんな哀しみをファントムたちはリンボーダンスで表現しているんじゃないだろうか」
和泉「キリスト教のリンボー(辺獄)…それがリンボーダンスの語源なんですか?」
一条「いや、何の関係もないけど」
ルル「ウソかよ!?」
本編ではこの会話のあと、付喪神の気を晴らすためと言って例のリンボーダンスシーンがある。
「退治する側が踊る」という要素に加え、人間に恨みを持つ電気属性のある木(材木)の妖怪...というと、単なる付喪神キャラクターというより、もしかしてこれは『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する「逆柱」のオマージュなのでは? という気がするのは考え過ぎだろうか。考え過ぎだろうな。
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警備ロボットのファントム
(『無彩限のファントム・ワールド』第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」より)
第2話に登場したファントム。
阿頼耶識社の廃工場でかつて稼働していた警備ロボットがファントム化したもの。
無数のドローンのファントムを操り、スピーカーから強力な音波を発することができる。
以下、第2話の会話より。
和泉「一条君、今のファントムは何だったんでしょう。また付喪神ですか?」
一条「多分。でも、増殖したり自己進化したり、こないだの電柱とはまた別の種類だと思う」
どうやら「付喪神」にもいろいろと種類があるらしいことが伺える台詞。
ロボットの「付喪神」という存在がすんなり受け入れられているあたりが、昨今の付喪神キャラクターの多様化を感じさせる。
まあ、作品の性格として考えると、上記の「付喪神」の説明と、出現した『ファントム』の本来の設定とは実はなんの関係もなくて、高校生である主人公が大雑把な知識を披露しているだけである...という可能性もありうる。あまりこれ以上突き詰めることもできないだろう。
また、原作小説を読めばもう少し何か言えるのかもしれないが、最終的に設定が原作通りとなるかどうかも現時点ではわからない。今後のアニメの展開を見てみるしかないかなという感じか。
第1話のような、よくあるもっともらしい説明を茶化す感じは好きだが、公式サイトを見るとわりと真面目に錯覚の話とかしてるしこのままバカアニメ路線では進まないのかな~。