猫は太陽の夢を見るか:番外地

それと同じこと、誰かがTwitterで言ってるの見たよ

【メモ】民俗学者キャラクターまとめで一年を振り返る2022

 

自分用メモ。昨年同様、民俗学者キャラクターでこの一年を振り返るというよくわからない趣旨の記事だ。

 

昨年の記事↓

【メモ】民俗学者キャラクターまとめで一年を振り返る2021 - 猫は太陽の夢を見るか:番外地

 

というわけで、今回も今年2022年に発表されたマンガ、アニメ、映画、ドラマ、ゲーム、小説のうち、民俗学者キャラクター、あるいは作品内で「民俗学に詳しい」とされる「民俗学者っぽい」キャラクターが出ている作品を中心に、時系列順に以下に一覧化した。

 

 

民俗学者キャラクター登場作品一覧2022

 

1月
3日 [マンガ]渡辺カナ 漫画, 白土夏海 原作「ロマンティック・ダーク」第9話(eBookJapan Plus)が配信、大学の民俗学文化人類学の学科の学生たちが廃社になる神社にフィールドワークに行くエピソードで、ゼミの教員らしき男性が社殿で記録を取っている姿が描かれているほか、学生たちが集まって百物語をする場面がある。
12日 [小説]朝井まかて『ボタニカ』(祥伝社)が刊行、南方熊楠柳田国男が間接的に登場。また、村山早紀『桜風堂夢ものがたり』(PHP研究所)が刊行、民俗学者キャラクターは登場しないが「柳田」という名の語り手が登場し、過去エピソードの中で語り手のいとこが「名字が同じ」という理由で『遠野物語』を手にし、それがきっかけで語り手自身も民俗学の本を読むようになったと語られる。
14日 [小説]高田崇史『源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義』(講談社文庫)が刊行。
21日 [小説]白井智之『そして誰も死ななかった』(角川文庫) が刊行。
26日 [小説]葉月奏太『発情村』(竹書房文庫)が刊行。
28日 [マンガ]吉川景都『こまったやつら ~民俗学研究会へようこそ~ 1』(少年画報社)が刊行。また、波津彬子「ふるぎぬや紋様帳」最終回が『月刊flowers』2022年3月号(小学館)に掲載。
31日 [アニメ]『KUNI 柳田くにの優しい歌』(株式会社PAGE)がYouTubeで配信、柳田国男の出生地である兵庫県福崎町のアピールを目的とするもので、観光庁が実施する令和3年度「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の一環として制作。

 

2月
2日 [マンガ]つくも号「群れ落ちる白い花」第3話が『Adam』volume.8(ブレインハウス)に掲載配信(電子版のみ)、民俗学者の男と囚われの美少年のBL。
18日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 9』(集英社)が刊行。[小説]福田和代『梟の一族』(集英社文庫)が刊行。
21日 [マンガ]五十嵐文太 漫画, 芦花公園 原作「異端の祝祭」が『コミックウォーカー』(KADOKAWA)で連載開始。
22日 [小説]芦花公園『漆黒の慕情』(角川ホラー文庫) 、望月麻衣『わが家は祇園の拝み屋さん15 それぞれの未来と変わらぬ想い』(角川文庫)が刊行。
28日 [マンガ]藤丸豆ノ介 漫画, 友麻碧 原作, あやとき キャラクター原案『浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。』(KADOKAWA)が刊行。

 

3月
9日 [マンガ]近藤憲一『ダークギャザリング 9』(集英社)が刊行。[小説]一ノ瀬三葉『時間割男子 8 答えさがしのハワイ旅行』(角川つばさ文庫)が刊行。
10日 [小説]はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ 19 19BOX~日常~』(講談社)、中村まさみ『学校の怪談 5分間の恐怖 さむらいがいる家』(金の星社)が刊行。
11日 [マンガ]河内遙『涙雨とセレナーデ 9』(講談社)が刊行。
17日 [マンガ](R18) 浪花道またたび『畜女のたしなみ』(エンジェル出版)が刊行、収録作「ハメ嬲り祭の夜」で大学で日本の民俗学を専攻している留学生が主人公。
18日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 10』(集英社)、Batta『狐のお嫁ちゃんと息子ちゃん 1』(eBookJapan Plus)が刊行。
19日 [小説]百門一新『白虎獣人弟の臆病な学者事情 このたび獣人学者様の秘密の仮婚約者になりまして』(一迅社文庫アイリス)が刊行。
20日 [アニメ]『サザエさん春の東北・岩手ワクワク旅スペシャル』(フジテレビ, エイケン)が放送、民俗学者キャラクターは登場しないが「磯野家の遠野物語~妖怪とグルメの東北旅~」において磯野一家が岩手県遠野市を訪れ、柳田国男遠野物語』も紹介された。
23日 [小説]澤村御影『准教授・高槻彰良の推察 7 語りの底に眠るもの』(角川文庫)が刊行。
25日 [アニメ](R18)『闇憑村/めるてぃーりみっと The Animation 上巻』(ショーテン)が発売、あるぷの同名マンガが原作の成人向けOVA
31日 [マンガ]江口夏実「出禁のモグラ」第22話「奇祭に行こうよ」が『モーニング』2022年18号(講談社)に掲載、大学生の主人公が民俗学のレポートを書くために人魚の伝承が残る離島の奇祭を取材に行くエピソードで民俗学者キャラクターは登場しないが、「地域文化や民俗伝承は重要な研究対象」であるとして幻想文学の教授が民俗学者ポジションを担う。また、(R18)香吹茂之『射精推理 女神の館』(ティーアイネット)が刊行、民俗学を研究している大学院生が探偵役のエロミステリー。

 

4月
1日 [小説]トネ・コーケン『スーパーカブ 8』(角川スニーカー文庫)が刊行*1
6日 [小説]天野頌子『よろず占い処 陰陽屋桜舞う』(ポプラ文庫ピュアフル)が刊行、シリーズ完結。
8日 [マンガ]波津彬子『ふるぎぬや紋様帳 6』(小学館)が刊行、シリーズ完結。
11日 [ドラマ]『ちむどんどん』(NHK)が放送開始、戸次重幸が民俗学者の父親を演じる。
13日 [小説]住滝良『それは正義が許さない! 真珠島の神隠し』(講談社青い鳥文庫)が刊行、直接民俗学者キャラクターが出てくるわけではないが、物語の舞台となる離島を過去にとある民俗学者が訪れた逸話が語られる。
15日 [小説]なみあと『占い師オリハシの嘘』(講談社タイガ)が刊行。
19日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 11』(集英社)が刊行。
20日 [小説]村崎なぎこ『百年厨房』(小学館)が刊行。
25日 [マンガ](R18)肉そうきゅー。『精ヲ喰ラフ鬼ノ蕾』(ジーオーティー)が刊行、民俗学の大学教授のもとで不老不死の美女の伝説について研究している青年が主人公。
28日 [アニメ](R18)『闇憑村/めるてぃーりみっと The Animation 下巻』(ショーテン)が発売。

 

5月 
7日 [小説]東万里央『しあわせ幼馴染み婚 策士な小説家のみだらな本音』(オパール文庫)が刊行、民俗学者キャラクターは登場しないが、作中作で「民俗学者草薙剣シリーズ」というミステリー小説が出てくる。
11日 [小説]早坂吝『殺人犯 対 殺人鬼』(光文社文庫)が刊行。
12日 [マンガ]日野塔子『人魚の蜜は甘く滴る Ⅲ あなたの種をください』(大都社)が刊行。[小説]芦花公園『ほねがらみ』(幻冬舎文庫)が刊行。
13日 [小説]高田崇史『鬼統べる国、大和出雲 古事記異聞』(講談社文庫) が刊行。
16日 [マンガ]山口譲司 漫画, 木口銀 原案協力『村祀り 15』(芳文社)が刊行。
19日 [マンガ]深川可純 漫画,広報広聴課ゾンビ係 原作「ゾンビランドサガ外伝 ザ・ファースト・ゾンビィ」第12話「追憶。私が本当にすべきこと。」が『ウルトラジャンプ』2022年06月号(集英社)に掲載、主人公・山田たえの両親が民俗学者であった過去が語られる。[小説]大石大『死神を祀る』(双葉社)が刊行。
20日 [小説]相川真『京都伏見は水神さまのいたはるところ 藤咲く京に緋色のたそかれ』(集英社オレンジ文庫)、夕鷺かのう『葬儀屋にしまつ民俗異聞 鬼のとむらい』(集英社オレンジ文庫)が刊行。

 

6月
3日 [映画]『きさらぎ駅』(イオンエンターテイメント)が公開、民俗学を学ぶ大学生の主人公を恒松祐里が演じる。
7日 [マンガ]あまー『よーじょらいふ! 3』(竹書房)が刊行。
15日 [小説]三津田信三『魔偶の如き齎すもの』(講談社文庫)が刊行。
16日 [小説]一色さゆり『ジャポニスム謎調査 新聞社文化部旅するコンビ』(双葉文庫)が刊行。
17日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 12』(集英社)が刊行。
22日 [小説]伴名練 編『新しい世界を生きるための14のSF』(ハヤカワ文庫JA)が刊行(民俗学者キャラクターは収録作品:蜂本みさ「冬眠世代」に登場)。
24日 [小説]山口幸三郎『幽霊と探偵』(メディアワークス文庫) が刊行。
27日 [マンガ] 相尾灯自 漫画, 澤村御影 原作, 鈴木次郎 キャラクター原案『准教授・高槻彰良の推察 4』(KADOKAWA)が刊行。

 

7月
6日 [小説]川越宗一『熱源』(文春文庫)が刊行。
7日 [小説]白川紺子『京都くれなゐ荘奇譚 二 春に呪えば恋は逝く』(PHP文芸文庫)、蒼月海里『怪談物件マヨイガ 蠱惑の呪術師』(PHP文芸文庫)が刊行。
8日 [小説]宮緒葵『あの夏から戻れない』(笠倉出版社)が刊行。
13日 [小説]緑川聖司『図書室の怪談 魔女の七不思議』(ポプラキミノベル)、一ノ瀬三葉『時間割男子 9 想い伝われ、文化祭!』(角川つばさ文庫)が刊行。
14日 [マンガ]露久ふみ「こまどりは、夜の帳」が『DEAR+』2022年8月号(新書館)で連載開始、警察官と民俗学者の双子の兄弟が主人公のサスペンスBL。
15日 [小説]古河樹『氷室教授のあやかし講義は月夜にて 3』(富士見L文庫)が刊行。
19日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 13』(集英社)が刊行。
20日 [小説]波摘 著, noprops,黒田研二 原作『青鬼 調査クラブ6 遊園地に眠る王を探し出せ!』(PHPジュニアノベル)が刊行。
26日 [マンガ][アニメ]近藤憲一『ダークギャザリング』(集英社)のアニメ化が発表される(2023年7月放送予定)。
27日 [小説]高遠琉加『白と黒の輪舞 刑事と灰色の鴉 2』(キャラ文庫)が刊行。
28日 [ゲーム]『デジモンサヴァイブ』(バンダイナムコエンターテインメント)が発売、地方私大で民俗学を教える准教授が登場。[小説]大塚英志『木島日記 うつろ舟』(星海社)が刊行。
29日 [マンガ]吉川景都『こまったやつら ~民俗学研究会へようこそ~ 2』(少年画報社)が刊行。

 

8月
4日 [マンガ]近藤憲一『ダークギャザリング 10』(集英社)が刊行。[小説]睦月影郎『女だらけの淫祭』(双葉文庫)が刊行。
10日 [小説]乙野四方字『僕が君の名前を呼ぶから』(ハヤカワ文庫JA)が刊行。
13日 [小説]樋口明雄『屋久島トワイライト』(山と渓谷社)が刊行。
19日 [マンガ]加藤キャシー『鬼獄の夜 14』(集英社)が刊行。また、サイトウマド「話の話 あめをあむ」が『オモコロ』(バーグハンバーグバーグ)に掲載、地域文化などを研究している主人公の学者がさまざまな不思議な風習を探る一話完結型の不定期連載作品。
23日 [マンガ]五十嵐文太 漫画, 芦花公園 原作「異端の祝祭」(KADOKAWA)の連載終了が発表される(連載された「第2話前半」までの範囲では原作に登場する民俗学者キャラクターは登場せず)。
24日 [マンガ]芳崎せいむ 漫画, リチャード・ウー 原作「民俗学者 赤坂弥一郎の事件簿」が『月刊アフタヌーン』10月号(講談社)で連載開始、元商社マンの民俗学者が主人公のミステリー*2
26日 [マンガ]渡辺カナ 漫画, 白土夏海 原作『ロマンティック・ダーク (合本版) 1』(eBookJapan Plus)が刊行配信(電子版のみ)。
31日 [小説]大島清昭『赤虫村の怪談』(東京創元社)、大塚英志北神伝綺』(星海社)が刊行。

 

9月
1日 [小説]秋桜ヒロロ『悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。5』(角川ビーンズ文庫)が刊行。また、夢枕獏「キマイラ聖獣変」が『一冊の本』2022年9月号(朝日新聞出版)で連載開始。
6日 [小説]久真瀬敏也『両面宿儺の謎 桜咲准教授の災害伝承講義』(宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)、柊坂明日子 著, 三雲百夏 監修・原案『一教授はみえるんです』(小学館文庫キャラブン!)が刊行。
8日 [小説]鳴神響一『警察庁ノマド調査官 朝倉真冬 男鹿ナマハゲ殺人事件』(徳間文庫)が刊行。
9日 [マンガ]藤承太郎「神秘と人間」が『ジャンプルーキー!』に掲載配信、民俗学者の男が不可解な事件の真相を追う。
15日 [小説]須垣りつ『流麗島署オカルト班事件簿 闇は道連れ 世は裁け』(富士見L文庫)が刊行。 
21日 [小説]望月麻衣『わが家は祇園の拝み屋さん EX 愛しき回顧録』(角川文庫)が刊行。
22日 [マンガ]江口夏実『出禁のモグラ 3』(講談社)が刊行、また、木下さくら,東山和子tactics 新説」第20話(最終話)が『クロフネ×LINEマンガ』(リブレ, ライン デジタル フロンティア)で掲載配信、妖怪退治屋兼民俗学者が主人公の長期シリーズが完結。
28日 [小説]大塚英志北神伝綺 妹の力』(星海社)が刊行。
30日 [マンガ]藤丸豆ノ介 漫画, 友麻碧 原作, あやとき キャラクター原案『浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。 2』(KADOKAWA)が刊行。[ドラマ]ウェブドラマ『県北高校焚き火部の野望』(テレビマンユニオン)がYouTubeで配信開始、昨年公開された『県北高校フシギ部の事件ノート』の続編で民俗学者をモチーフとしたキャラクターの折口ミコト(演:凛美)、宮本ナミ(演:其原有沙)がゲスト出演している。[小説]有栖川有栖『濱地健三郎の呪える事件簿』(KADOKAWA)が刊行。

 

10月
12日 [マンガ]日野塔子『人魚の蜜は甘く滴る Ⅳ あなたの種をください』(ダイトコミックス)が刊行。
13日 [マンガ]河内遙『涙雨とセレナーデ 10』(講談社)が刊行。
19日 [小説]石川宏千花『化け之島初恋さがし三つ巴 1』(講談社)が刊行。
20日 [マンガ]今市子百鬼夜行抄 30』(朝日新聞出版)が刊行。[小説]イスラーフィール『淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十三』(TOブックス)が刊行、現代から戦国武将に転生した主人公が家臣を「お抱えの民俗学者」と評価する場面がある。
24日 [小説]澤村御影『准教授・高槻彰良の推察 8 呪いの向こう側』(角川文庫) が刊行。

 

11月
2日 [小説]澤村伊智『ばくうどの悪夢』(KADOKAWA)が刊行。
12日 [マンガ]木根ヲサム「カレカミ 運命の恋は神様と」第5話(フューチャーコミックス)が配信、主人公の父親が大学時代に民俗学を専攻しており田舎の呪いの風習の調査をした過去を語るエピソードがある。
14日 [小説]北條拓人『みだれ酔いお姉さん』(竹書房ラブロマン文庫)が刊行。
15日 [小説]友麻碧『浅草鬼嫁日記 十一 あやかし夫婦は未来のために。 下』(富士見L文庫)が刊行(シリーズ完結)、民俗学者キャラクターは登場しないが主要登場人物たちが高校の民俗学研究部に所属しているという設定が言及される。
18日 [マンガ]木下さくら,東山和子tactics 新説 2』(リブレ)が刊行、シリーズ完結。
25日 [小説]三津田信三『みみそぎ』(KADOKAWA)が刊行。
30日 [小説]高田崇史古事記異聞 陽昇る国、伊勢』(講談社ノベルス)が刊行。

 

12月
1日 [映画]ノルウェー映画トロール』(Netflix)が配信開始、主人公の父親でトロール伝承を研究する異端の民俗学者が登場(日本語吹き替え版の声は大塚芳忠)。
2日 [マンガ]近藤憲一『ダークギャザリング 11』(集英社)が刊行。
4日 [マンガ]夜諏河樹「アンテン様の腹の中 13話①」が『少年ジャンプ+』(集英社)で掲載配信、大学生の語り手が民俗学のレポートを書くために都市伝説を調査する。
7日 [小説]緑川聖司『図書室の怪談 闇の図書室』(ポプラキミノベル)が刊行。
12日 [小説]山川方夫 著, 日下三蔵 編『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』(ちくま文庫)が刊行。
13日 [小説]井上雅彦 監修『超常気象 異形コレクションLIV』(光文社文庫)が刊行(民俗学者キャラクターは収録作品:黒木あるじ「千年雪」に登場)。
14日 [小説]一ノ瀬三葉『時間割男子 10 ヒミツにせまる動物園!』(角川つばさ文庫)が刊行。
15日 [マンガ]三国ハヂメ『佐倉叶にはヒミツがある 2』(白泉社)が刊行配信(電子版のみ)。[ゲーム]オンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』(スクウェア・エニックス)の期間限定イベント「星芒祭」のクエスト「星芒祭と幻影のトナカイ」にトナカイの民間伝承を研究する民俗学の准教授が登場(~12月31日まで)。
16日 [小説]山岸マロニィ『久遠の呪祓師 怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』(アルファポリス文庫)が刊行。
18日 [マンガ][アニメ]天野明『鴨乃橋ロンの禁断推理』(集英社)のアニメ化が発表される。
19日 [マンガ]深川可純 漫画,広報広聴課ゾンビ係 原作『ゾンビランドサガ外伝 ザ・ファースト・ゾンビィ 3』(集英社)が刊行。[小説]青柳碧人『名探偵の生まれる夜 大正謎百景』(KADOKAWA)が刊行。
22日 [マンガ]芳崎せいむ 漫画, リチャード・ウー 原作『民俗学者 赤坂弥一郎の事件簿 1』(アフタヌーンKC)が刊行。[小説]木古おうみ『領怪神犯』(角川文庫)が刊行、民俗学者のフィールドワークを装って現地調査をする場面がある。
23日 [ゲーム](R18)『廃村少女~妖し惑ひの籠の郷~』(Escu:de)が発売。[小説]高山羽根子首里の馬』(新潮文庫)が刊行。
27日 [マンガ] 相尾灯自 漫画, 澤村御影 原作, 鈴木次郎 キャラクター原案『准教授・高槻彰良の推察 5』(KADOKAWA)が刊行。
28日 [マンガ] 吉川景都「こまったやつら」最終回が『ヤングキングアワーズ』2023年2月号(少年画報社)に掲載。
30日 [マンガ]渡辺カナ 漫画, 白土夏海 原作『ロマンティック・ダーク (合本版) 2』(eBookJapan Plus)が刊行配信(電子版のみ)。

 

 

 

さて、ざっと並べてみたがいかがだろうか。いろいろ取りこぼしや間違いもあるかと思うが、昨年同様に今後気づいた時点で追加・修正していく予定……。

 

以下、補足的にいくらかトピックを眺めてみる。

 

今年は人気シリーズ作品の完結が目立ったように思う。

 

マンガでは、2014年に連載を開始した波津彬子「ふるぎぬや紋様帳」シリーズが完結。また、木下さくら&東山和子の「tactics」シリーズの続編「tactics 新説」は全20話で完結したが、前作と合わせるとおよそ20年以上に渡る長期シリーズとなった。また、平成初期の大学を舞台に専門的な民俗学描写が注目された吉川景都「こまったやつら」シリーズも惜しまれつつ完結した。
一方で、民俗学者キャラクターをメインにしたマンガの新シリーズも始まっている。『月刊アフタヌーン』10月号から連載を開始した「民俗学者 赤坂弥一郎の事件簿」(芳崎せいむ 漫画, リチャード・ウー 原作)は早くも12月に単行本第1巻が刊行。BLコミック誌『DEAR+』では露久ふみ「こまどりは、夜の帳」が連載中で、警察官と民俗学者の兄弟バディの活躍を描く。ウェブメディア『オモコロ』では、サイトウマド「話の話」シリーズが不定期で連載中、こちらは民俗学者の男が各地の風習をたずねるなかで不可思議な体験をしていくというスタイルの一話完結型の作品。
内容的な面から見ると、民俗学要素があるマンガでは大学生が民俗学のレポートを書くためにオカルト的な現象に遭遇する……という導入はまま見られるパターンなのだが、今年の作品では江口夏実「出禁のモグラ」第22話「奇祭に行こうよ」、夜諏河樹「アンテン様の腹の中 13話①」がこれに当たる。
また、香吹茂之『射精推理 女神の館』、肉そうきゅー。『精ヲ喰ラフ鬼ノ蕾』などの成人向け作品の民俗学ネタも変わらず根強い。あるぷ「闇憑村」がアニメ化されたことからも、このジャンルにおける民俗学者キャラクターの人気と使い勝手の良さがうかがえる。

 

小説では、澤村御影「准教授・高槻彰良の推察」、古河樹「氷室教授のあやかし講義は月夜にて」などの民俗学者が主役のシリーズのほか、相川真『京都伏見は水神さまのいたはるところ 藤咲く京に緋色のたそかれ』、望月麻衣『わが家は祇園の拝み屋さんEX 愛しき回顧録』など、特にあやかし・オカルトもののシリーズの後日譚で主人公が大学で民俗学を専攻している……という展開も、ある種のパターン化の傾向がある。
小説で民俗学者キャラクターが活躍するのは、上に並べたリストからもわかるように、角川文庫、メディアワークス文庫集英社オレンジ文庫講談社タイガ小学館文庫キャラブン!、宝島社文庫、ポプラ文庫ピュアフルなどのライト文芸に顕著なように思われる。これは、ライト文芸が得意とするあやかしものや青春ミステリーと民俗学者キャラクターとの相性の良さなどに理由があるだろうか。
ライト文芸の次に注目されるのが、児童文学作品である。ポプラキミノベルの緑川聖司「図書室の怪談」シリーズでは謎の民俗学者・久我の暗躍が描かれ、PHPジュニアノベルの波摘「青鬼 調査クラブ」シリーズではあやしげなオカルト民俗学者が主人公たちのクラブ活動の顧問を務めている。角川つばさ文庫の一ノ瀬三葉「時間割男子」シリーズでは、主人公の父親が付喪神を研究する民俗学者であったらしいことが物語が進むごとに明らかになっている。
なかでも今年の児童文学作品で個人的にピックアップしたいのは、はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ 19 19BOX~日常~』に登場した民俗学者・法難功で、このキャラクターは作者の初期作品『バイバイスクール』から作品をまたいで登場し続けているご長寿キャラクターであり(ちなみに民俗学者としての初登場は『メフィスト』2003年9月増刊号掲載の虹北恭助シリーズ高校編「人消し村の人消し城」、のち『少年名探偵 虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー』(講談社ノベルス)に収録)、今後も作者の作品にたびたび登場することが予想される。

 

映像作品では、NHKの朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』で戸次重幸演じる民俗学者・青柳史彦が登場した。しかし、子供時代の主人公に「民俗学は思い出の学問」(第9回「別れの沖縄そば」4月21日放送)と語った史彦はのちに早逝したことが明かされ、ドラマでは文字通り思い出の中の存在として語られていく。最終回で息子の和彦が民俗学研究者となったことがわずかに描かれるものの、民俗学者キャラクターが目立って活躍したとは言い難いものがある。
では、このドラマの中で民俗学者要素が薄いかというと、そうとも言い切れない。

……以下は完全に蛇足なので読み飛ばしてもらってかまわない。
ドラマ『ちむどんどん』では「椰子の実」の歌が繰り返し流れた。この「椰子の実」の歌詞は柳田国男が語った話をもとに島崎藤村が作詞したという逸話がある。

「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ 故郷の岸を 離れて 汝はそも 波に幾月」

……つまりこの作品では、民俗学/民俗学者要素を「椰子の実」の曲で強調し、柳田国男の「海上の道」のロジックを、ヒロインが東京と沖縄を往還するストーリーと重ねて描写しているということなのだろう。というように考えると、思い起こされる作品がある。かつてテレビ朝日系列で放送されたドラマ『トリック』である。『ちむどんどん』の民俗学者の描き方は『トリック』のそれと共通するところが大きい。
ドラマ「トリック」の第2シリーズ『トリック2』「episode 5 妖術使いの森」では、寺田農演じる民俗学者・柳田黒夫が「日本人は椰子の実だ!」と叫び、仲間由紀恵演じる山田奈緒子の出自が徐々に明かされていく……という作劇になっている。山田奈緒子が沖縄の離島から東京へ出てきた話と椰子の実が南洋から日本へ流れ着いたという話をダブらせているのだ。
『トリック』と比べると『ちむどんどん』の民俗学者キャラクターの描き方は明るく平易で、一見すると両者はまったく別物のように見える。が、その民俗学要素の取り出し方はかなり重なっている。他の多くのフィクションがそうであるように、ここにも民俗学者柳田国男というイメージの強さが表れているとも言えるだろうか……(蛇足終わり)。

今年のドラマでは、『ちむどんどん』以外に直接的に民俗学者キャラクターが登場した作品はなかったかと思う。しかし、「民俗学者っぽいキャラクター」が登場したドラマはいくつかあった。ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ)第1話(4月11日放送)では生田斗真演じる文化人類学者が「ポトラッチ」の概念について語った。ドラマ『相棒 season21』(テレビ朝日)第9話「丑三つのキョウコ」(12月14日放送)はインターネット上で拡散する都市伝説を扱ったエピソードで、社会心理学の大学教授が登場した。また、特撮ドラマ『ウルトラマンデッカー』(円谷プロダクション)第20話「らごんさま」(12月3日放送)では、滝のり子演じる郷土史家が地元の伝承「らごんさま」について語ったが彼女は昔、子供の頃にラゴンと交流していたところを村民に見つかり仲を引き裂かれてしまった……という悲劇が描かれた。

 

映画では、6月公開のホラー映画『きさらぎ駅』で、民俗学を学ぶ大学生の主人公を恒松祐里が演じた。また、海外作品にも目を向けると、ネットフリックスで配信されたノルウェー映画トロール』では、伝説の巨人トロールの実在を説く異端の民俗学者が活躍。同じくネットフリックスの台湾映画『呪詛』(原題:咒)は、実在の事件を題材にしたホラー作品だが、こちらで登場したのは民俗学者ではなく考古学者だった。

 

ゲームでは、7月発売のデジタルモンスターシリーズの新作『デジモンサヴァイブ』に地方私立大学勤務の異端の民俗学者が登場。また、ポケットモンスター新作の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に登場したオーリム博士 / フトゥー博士は民俗学者でこそなかったが、どちらもゲームの舞台となる地方に伝わるとある伝承について研究しているという設定だった。また、スマートフォン向けゲームアプリ『ドールズフロントライン・ニューラルクラウド』では中国版「少女前线:云图计划」で民俗学者キャラクターの「蔵音」(声:ゆきのさつき)が7月7日から8月4日の期間で実装されたが、このキャラクターは日本版ではまだ未登場の模様。

 

民俗学/民俗学者のモチーフはしばしば町おこしの場でも用いられる。柳田国男の出身地・兵庫県福崎町は柳田国男と地元との関連をアピールする動画『KUNI 柳田くにの優しい歌』をYouTubeで配信、茨城県県北地域の地元PR用ウェブドラマ『県北高校焚き火部の野望』では昨年の『県北高校フシギ部の事件ノート』に引き続き民俗学者を元ネタにしたキャラクターが登場した。

 

さて。ここまで、今年のフィクションに登場した民俗学者キャラクターについて書いてきたが、ついでというわけではないが、あえて登場「しなかった」民俗学者キャラクターについても少々記しておきたい。
2021年から放送延期されたアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 Final SEASON-浅き夢の暁-』(4月3日放送)には、原作ゲーム通りのシナリオであれば物語の真相に民俗学者キャラクターがかかわってくると予想されている……と昨年の記事で書いたが、アニメはゲームとはifの世界を描いたオリジナルストーリーが展開されたため、結局、民俗学者キャラクターは登場しなかった。
水城正太郎の同名ライトノベルを原作とするマンガ『異界心理士の正気度と意見』(ホビージャパン、作画は文ノ梛)に登場する宇垣零教授は原作小説では民俗学と医学に通じる魔術学者という設定だったが、コミカライズ版ではその専門分野の詳細は描かれなかった。
相沢沙呼のミステリー小説を原作とするドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ)第2話「Grimoire」(10月23日放送)のゲストキャラクターだった小説家・黒越篤(演:阪田マサノブ)は、原作では「近年までは作家業の傍ら、某大学で民俗学を教えていた」という記述があるが、ドラマ版では言及はなく(大学でゼミを持っていたという描写はある)、清原紘によるコミカライズ版でも大学で教えていたという言及はあるものの専門に関して明示はされなかった。

 

補足のつもりが少し長くなってしまった。

 

来年の作品でわかっているところでは、『野性時代』で連載していた三津田信三「怪民研」シリーズが単行本化。また、絶版となっていた大塚英志『木島日記 もどき開口』の復刻版が刊行予定。ライト文芸においては、萩原麻里の呪殺島シリーズ、芦花公園の佐々木事務所シリーズも続刊の刊行が予告されている。2023年夏にアニメが放送予定の近藤憲一『ダークギャザリング』では民俗学専攻のヒロインが登場するほかに原作通りなら主人公たちが通う大学での都市伝説の講義のエピソードも描かれる。ゲームでは、『青十字病院 東京都支部 怪異解剖部署』(フロシキラボ)がNintendo Switchでリリース予定で、折口信夫をモチーフにしたと思われる「久野澁千織 クノシブチオリ」というキャラクターが登場するとのこと*3。映画では、韓国・イギリス合作のホラー映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』にシャーマニズムや超常現象が専門の民俗学者が登場する*4

 

現時点でまとめられる情報はこんなところだろうか。今後は民俗学者キャラクターネタ以外の記事も更新していきたいと心の中では思うが、今年の感じを思い返すとあまり期待できそうにない。では、今回はそんなところで。

 

 

※追記:2023/12/28、以下14点の情報を追記、文章を一部修正しました。

3月17日 [マンガ](R18) 浪花道またたび『畜女のたしなみ』(エンジェル出版

5月19日 [マンガ]深川可純 漫画,広報広聴課ゾンビ係 原作「ゾンビランドサガ外伝 ザ・ファースト・ゾンビィ」第12話「追憶。私が本当にすべきこと。」『ウルトラジャンプ』2022年06月号(集英社

9月8日 [小説]鳴神響一『警察庁ノマド調査官 朝倉真冬 男鹿ナマハゲ殺人事件』(徳間文庫)

11月12日 [マンガ]木根ヲサム「カレカミ 運命の恋は神様と」第5話(フューチャーコミックス)

12月12日 [小説]山川方夫 著, 日下三蔵 編『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』(ちくま文庫

12月16日 [小説]山岸マロニィ『久遠の呪祓師 怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』(アルファポリス文庫)

12月19日 [マンガ]深川可純 漫画,広報広聴課ゾンビ係 原作『ゾンビランドサガ外伝 ザ・ファースト・ゾンビィ 3』(集英社

12月23日 [ゲーム](R18)『廃村少女~妖し惑ひの籠の郷~』(Escu:de

 

 

*1: 作者のツイートによれば、主人公の小熊は高校卒業後、大学で民俗学を専攻しているという設定がある。”トネ・コーケン【スーパーカブ8(完) 四月一日発売】 @tone_koken 午前10:20 · 2022年5月2日)https://twitter.com/tone_koken/status/1520936160700166144 ” “トネ・コーケン【スーパーカブ8(完) 四月一日発売】 @tone_koken 午後5:54 · 2022年5月2日 https://twitter.com/tone_koken/status/1521050445971558401

*2:作者のツイートによれば、民俗学者のイメージには熊本大学鈴木寛之准教授を参考にしている部分があるとのこと。”芳崎せいむ @yseimu 午後4:40 · 2022年7月31日 https://twitter.com/yseimu/status/1553646775407624192 ”、 “芳崎せいむ @yseimu 午前9:01 · 2022年8月1日 https://twitter.com/yseimu/status/1553893674941296640

*3:“フロシキラボ Furoshiki Lab.  @furoshiki_lab
午後9:41 · 2022年12月8日”
https://twitter.com/furoshiki_lab/status/1600832956959887362

*4:“『呪呪呪/死者をあやつるもの』オフィシャルサイト 2023年2月10日(金)公開”
https://happinet-phantom.com/jujuju/