猫は太陽の夢を見るか:番外地

それと同じこと、誰かがTwitterで言ってるの見たよ

最近観た映画 : 『さよなら、人類』、『ガールズ&パンツァー 劇場版』、『ハーモニー』

『さよなら、人類』

ポスター A4 さよなら、人類 光沢プリント

11月1日に観た。

スウェーデンロイ・アンダーソン監督の「人間についての3部作」の完結作。前の2作は未見。

劇中のひとびとの顔が妙に白っぽく見える(そしてそれが作品世界がこの世のものでないような雰囲気を演出している)のは何故かなと思ってパンフレットにもとくに書いていなかったので帰ってからググったら「登場人物たちの顔が白塗りなのは、表情を表に出さず、身体で感情を表現する日本の「能」の影響からです」という監督のコメントが日本語で出てきた。IT社会(死語)。

 

ガールズ&パンツァー 劇場版』

ガールズ&パンツァー劇場版 2016カレンダー

11月25日に観た。

TVシリーズはリアルタイムでは見ていなくてかなり最近になってDVDとCATVでまとめて見たのだが、TV版より火薬マシマシの砲撃戦は劇場で体感してこその迫力。容赦なくぶっ放される砲弾とためらいなく破壊される市街地のカタルシス。惜しみない総火力。音響が体に響く響く。謎カーボンの謎を信じろ(ていうかあの世界の実弾は本当に現実の実弾と同じ概念のそれなのだろうか?)(※追記:あとで調べたらどうも現実の実弾と同じ概念のそれではないハイテクノロジーの産物らしいですね。なるほど) *1

従来の登場人物に新規キャラ、そして何より各校の戦車それぞれに出番があり、それでいてとって付けた感がほとんどないのは見事だった。ほかにも海沿いの木造校舎での臨時の仮生活とか西住姉妹の幼少時の夏の思い出とか、ファンの期待を裏切らない造りとはこういうことを言うのだなと感慨深い。映画に関してはこれで今年の悔いはもう何もない。

 

『ハーモニー』

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

11月25日に観た。

 百合系雰囲気SF映画。個人的にはおおむね楽しんで見られた。まあ、原作:伊藤計劃というクレジットだけですでにハードルが上がっているわけで、よっぽどうまく作らない限りSFファンからの批判は免れなかったであろう作品。

内容に関しては肝心のSF描写が甘いというのも事実そうなのだろうが、御冷ミァハの「ただの人間には興味がないの」という例の台詞は本人が教室で言っているところを正面から映さないとパロディの意味がないだろ! 等々憤りを覚えた向きは三巷文のコミカライズ版を読もう。

皮肉になるようだが、ではひとつの映画として駄作と言いきれるかというと難しく、SF的な細かい矛盾や原作との相違をとくに知らずに見ればむしろ映像作品としてのクオリティは高いんじゃないだろうか。

原作では物語序盤に語られていたミァハとトァンの学生時代のやりとりが、映画では断片的な回想として要所要所に差し挟まれるなど構成上の工夫は見られるし、独立した作品としての「お話」そのものは全否定されるほど悪くはなかったと思う。ただ、それらの工夫が果たしてうまくいっていたのかどうかはあやしく、例に挙げた回想シーンなどはどうも過去の現実の出来事というよりもミァハとトァンの心象風景もしくは新房昭之的・シャフト演出的な記憶を再構成した映像だったのではないかという印象を受けた。

また、背景美術が美しいだけに登場人物の衣服や建物等のSF的ガジェットのデザインがいまひとつ洗練されていないあるいは考証不足なのもどうにも浮いている。

原作準拠で見れば映画のラスト改変には異論があるだろう。しかしあくまで単体の作品として見れば、あれはあれでありなのではないかと思った。意識が失われた世界の到来を告げる幕引きの仕方もよかった。......だがやはり、納得に足る世界観の魅せ方という点ではガルパンに負けてる感が強い。

繰り返すが、個人的にはおおむね楽しんで見られたのだ。ホントだってば!

あと、「Project Itoh」は真相に迫る途中で死ぬロシア人キャラをCV三木眞一郎にするノルマでもあるのか。

 


『ハーモニー』のノリがありなら『不動カリンは一切動ぜず』をアニメ化しようぜ。