猫は太陽の夢を見るか:番外地

それと同じこと、誰かがTwitterで言ってるの見たよ

最近観た映画:『ミッドサマー』『劇場版 ハイスクール・フリート 4D版』

 

・ミッドサマー


『ミッドサマー』本国ティザー予告(日本語字幕付き)|2020年2月公開

2月21日に観た。
とにかく画面が美しい。やはり絵コンテがキマッている映画はよい。ストーリーラインはきわめて単純。人間関係に問題を抱える学生グループが古い因習の残る山村で悲劇に見舞われカタストロフィとカタルシスに至る。あっと驚くどんでん返しだとか、意外な展開ということはほぼ起こらない。こうなるだろうな、こうなったらイヤだな、こうなったら怖いなという展開が矢継ぎ早に繰り出される。観客が「こういう怖いことが起こるに違いない」と予想してしまう画やシチュエーション「だけ」で映像を構成することで、あえて怪奇な造形物や効果音を用いずともじゅうぶんな恐怖感を煽ることができるということを映画全編を通して示している。しかもそれを画面の隅々まで緻密に計算してやっており(空や山はもちろん、花冠の一つから卓上の料理に至るまで歪んだCG処理を施す徹底ぶり)、それでなお成功しているのが素晴らしい。意図することとそれを成功させることは別なのだ。そういう意味で、これは観客のホラー映画へのリテラシーを信頼し、そこに依拠している作品であると言うこともできるか。でも、ストーリーのアイデアのもとにあるのは監督の実体験だとか。怖い。

 

 

・劇場版 ハイスクール・フリート 4D版


映画『劇場版 ハイスクール・フリート』予告編

2月21日に観た。
同題テレビシリーズの劇場版。百合。基本的には学園ものである。今回はテレビ版ではあまり出てこなかった他クラス・他校の生徒の他、いかにも劇場版・OVA版っぽい異国少女キャラも投入され、登場人物はテレビ版よりもずっと増えているはずなのだが、キャラクターの関係性の描き方はむしろテレビ版よりも限定されている。船上の教室内群像劇といった感のあったテレビ版に比べ、劇場版では他のクラスメイトや追加キャラクターたちの存在は後景化し、艦長・岬明乃と副長・宗谷ましろの二人の駆け引きを前面に置いて描く。劇場版オリジナルの脅威として、海上要塞を占拠する海賊集団が登場するが、序盤から丁寧に張られた伏線は中盤以降急速に収束し、その実態もあまり描写されないままで、海賊そのものは話を盛り上げる以上の役割を持つことはない。ここでは世界の危機は岬明乃と宗谷ましろの二人の関係を結び直すための道具立てと化しているのだが(そういえばテレビ版に出てくる「RATtウィルス」も結局劇中でその設定が深掘りされることはなかった)、その点にこそセカイ系百合のお手本とでも呼ぶべき作劇の妙がある。クライマックスの艦船アクションはアニメならではという感じで見もの。

 

 

 

 

しばらくやっていなかったけど、今年はまた映画の感想をぼちぼち書いていこうかなと思います。