【備忘録】今年見たアニメをだいたい一言で振り返る2015・後半期
前記事の続き。
順番はおおむね放映時期順。
基本的に最終回まで見た作品を取り上げている。
えとたまとパンチラインを見なかったのが今年の心残り。
・『ロボットガールズZプラス』
ギャグの切れのよさは1期のほうがあったように感じる。
キャラクターが増えた分、全体がややおとなしくなった印象。
・『てーきゅう 5期』、『てーきゅう 6期』
そこにあることが当然であるかのような存在感はもはや空気の如きである。
・『だんちがい』
面白かったのでもう少し長い尺で見たかった気も。
今年は5分の短編(かそれ以下)の枠が増えた気がする。
・『洲崎西 THE ANIMATION』
なぜアニメ化したのか!? という印象が第一だったが、ネタの作り込みというか全体的クオリティとしてはよく出来ていたのがまた。
・『がっこうぐらし!』
原作未読視聴者に衝撃を与えた第1話はやはりインパクトがあった。
話題性で言えば随一だけども、既存の日常系作品やゾンビ映画を取り込み咀嚼した内容もよかった。
ゾンビパニックものの歴史に刻まれる作品だった。
・『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』
方々での評価はいまいちだったようだが、個人的にはわりと好きだった。
主人公がなかなか戦う決意をせずどっちつかずな態度を続けていたのがじれったかったと言われれば事実。
・『ビキニ・ウォリアーズ』
作中で描かれているのは明らかにただのビキニよりも露出が多くただの布に見えるがあくまでビキニアーマーであるのだと言い、そもそもビキニアーマー自体が本来のアーマーの役割を果すものでなく、ビキニとは...アーマーとは...という疑問を突きつけられるがそんなことを考える間もなく4分が過ぎていくハイコンテクストな作品。
・『空戦魔導士候補生の教官』
夏のライトノベル原作枠。
制作会社がディオメディアでかつ監督が『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』、『聖剣使いの禁呪詠唱』のひとというのだから期待せずにはいられないし実際期待通りのアトモスフィアが体験できた。
アニオリ回が原作を補完しつつよくできて面白かった稀有な例。
・『干物妹!うまるちゃん』
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室内でごろごろしてるシーンが多いのにのもかかわらず動画工房制作らしくよく動いていて、そういったそれぞれのキャラが動いているシーンこそが魅力だった。
OPのインパクトが印象的。
・『乱歩奇譚 Game of Laplace』
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後半のメインとなる「怪人二十面相」では大衆における正義や法の裁きの正しさを問うことをテーマとしていたが、同時期に放映されていた『ガッチャマン クラウズ インサイト』に推し負けていた感が否めない。
影男のエピソードはそれなりの猟奇性がありまた救いがなくまた影男自身のキャラも特徴があり、際立ってよかった。
・『ワカコ酒』
沢城みゆきの好演を楽しむアニメ。
・『WORKING!!!』
安定の第3期。
ここまでぶれずに面白いのも素晴らしい。
1期からずっと続けて見てきていたのでこれまでのストーリーが一気に収束していく最終回はグッとくるものがあった。
・『オーバーロード』
「お、普通に強い魔王が妹でもアルバイターでもなく真面目に世界征服活動してる! すごい!」と何か間違った方向に興奮して見ていた。
・『わかば*ガール』
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ウルトラスーパーキャッキャウフフアニメ。
・『ミス・モノクローム -The Animation- 2』、『ミス・モノクローム -The Animation- 3』
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第1期にあったような不条理系ギャグと比較的まともなストーリーがシャッフルで現れ視聴者を混乱させるがそれが持ち味のアニメだった。
一貫性をつらぬき通しているふうを装うのかと思いきや3期後半になってOPEDを換えてくるという自由さ。
2と3を分ける意味とは。
・『うーさーのその日暮らし 夢幻編』
前シリーズは見てなかった。
ミス・モノクロームがシーズンを重ねるにつれて普通のストーリーアニメ然としてくるのに対して独特な不条理を描き続けた。
・『おくさまが生徒会長!』
おくさま劇場、光であり闇。
・『六花の勇者』
ファンタジーRPG的世界観でミステリーをやるという原作の意図をじっくりと昇華していて見応えがあったが、少しじっくりやり過ぎた感もあった。
しかし丁寧にやってくれた分、シーンひとつひとつが見どころのようになっていて重厚さがあった。
・『城下町のダンデライオン』
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アニメはリアルタイムではたいてい1話1回しか見ないのだが、ひさしぶりに1話を2,3回見てしまった作品。
しかし何がそんなに自分の琴線に触れたのか未だによくわからない。
・『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』
次期待機組。
原作は未読だし2クール目の出来を見てみないとなんとも言えないところがあるが、楽しんで見れた。
OPEDが好きだった。
・『Charlotte』
面白く見ていたが、おおかたの評判として後半の急展開が不評だったし、実際急だと感じた。
2クールくらいの余裕が確保されていればまた違ったのかもしれない。
・『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』
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いい意味で大真面目に作られた馬鹿アニメだったが、世情を省みると実はあまり笑っている場合でもないのかもしれない。規制ネタはアニメ映えする。
アンナ会長がはまり役だっただけに訃報がなお惜しまれる。
・『ガッチャマン クラウズ インサイト』
前作に引き続き「ガッチャマン」をモチーフに、正義とは、そして世間を覆う「空気」やそもそも民主主義とは何かを問うことをメインテーマとしていた。
わりと硬派なテーマをやわらかい絵柄でやっている。
というかデザインが好き。
・『戦姫絶唱シンフォギアGX』
前シリーズを見ていなかったがニコニコ動画でコメント付きで見ていたこともあり、あまりそのことを妨げには感じなかった。
ノリと勢いでぶっちぎる爽快感がよかった。
・『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』
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作画がすごいのはさすがのSILVER LINK.。
話がなかなか本題に入らなかったり、第1期から続く謎の10話構成等気になる点はあるはずなのだがそういったことへの不満がほとんど聞こえてこなかったのが一番の謎。
4期もあるそうだが、サファイアの声はどうなるのだろう...。
・『ランス・アンド・マスクス』
「今期のロリコンアニメ」、「どことなく『ハヤテのごとく!』っぽい」、「増殖する謎仮面騎士」、「本当は騎士になんてなりたくないけどみんなを守るためには戦わなければならない...!という主人公の葛藤」、「意外とアクションシーンがよい」...et.評判や見どころはいろいろとあるが、このアニメで何より特異なのは、これといって変身設定があるわけでもないのにとくに説明のないまま視覚的に馬と人間体を行き来する〈白姫〉というキャラクターの存在であろう。ああいう描き方もありなんだなというのはある意味衝撃だった(ただのゴリ押しでは?という声が聞こえなくもないが...)。
・『終物語』
長い会話パートとアクションシーンのメリハリの見せ方はさすがだし、「終」と言いながらなかなか終わらない〈物語シリーズ〉を安心して見続けられる要因でもある。
とくに今回はミステリ仕立ての前半の老倉育編「おうぎフォーミュラ」「そだちリドル」「そだちロスト」と、伝奇アクションを含む後半の忍野忍編「しのぶメイル」とが好対照だった。
「おうぎフォーミュラ」→「そだちリドル」→「そだちロスト」→「しのぶメイル」と進むにつれて次第に物語の舞台が学校の外での出来事に展開していく感じも分かりやすくていい。
・『学戦都市アスタリスク』
分割2クールの前半。
2015年秋アニメのうち〈魔法×学園×日本刀〉の要素を持つライトノベル原作アニメは『学戦都市アスタリスク』、『落第騎士の英雄譚』、『対魔導学園35試験小隊』の3作品があるが、他の2作品ではライトノベルヒロインに鉄板(?)の「ブラコンの妹」が幅を利かせているのに対し、『学戦都市~』では主人公が姉の呪縛の影響下にあることがストーリーの重要なファクターとなっていた。
主人公が学校でハーレムラブコメしているあいだに、裏で実はいろいろな陰謀が渦巻いていていろいろな人物が思わせぶりなことを言っているというのがこの作品の魅力のひとつだと思うのだが、ただ、ハーレムラブコメである以上仕方がないのかもしれないが、どうも主人公のキャラがやや弱い気がした。
個人的には第3話ラストで主人公がヒロインのピンチに駆けつける道中、夕暮の町を背景に走っているシーンが「都市で戦っている」雰囲気が出ていて好き。
「学戦都市」というからには、都市のどのエリアで何が起こっているのかをもっと明示するアニメでもよかったようにも思う。
・『おそ松さん』
「伝説の第1話」などの、ある種「狙い過ぎ」ともいえるマーケティング手法は好みが分かれそうだが、そういった話題性抜きにしても面白い。
振り返ってみると、ヤッターマン、ガッチャマン、おそ松くん、ルパン三世、セーラームーンet...と2015年は過去作に題材を採った新作アニメが多かったが、そのなかでも、原点回帰でもなくまた大胆なアレンジでもなく、明らかに毛色が違うのがわかる。
・『不思議なソメラちゃん』
アニメ化したことで原作よりカオスさが増しているということらしいが、こういうギャグは好きなのでもっとやってほしい。
・『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER
小説『すべてがFになる』と〈四季シリーズ〉を原作とし、両作品が交互に描写される。
本格ミステリ小説を映像化するのは難しいだろうと思ったが、実際見てみると結構場面転換が多い作品だったのだなと気づかされる。
原作の筋をなぞりつつ、変更すべきところは変更し、よりアニメとして映える展開を選択していたと思う。
・『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』
分割2クールの前半。
昭和のアニメ特撮史そのものがメタ的・寓意的に取り込まれている脚本家・會川昇の秘蔵っ子企画(...らしい)。
時系列が幾度も前後する方法も比較的目新しい。
毎回盛り込まれた要素が大量で情報の処理が追いつかなかったがそれが楽しい。
キャラクターデザインのいくつかが氷川へきるだと聞いていまいちピンと来ていなかったのが、人間衛星アースちゃんが出てきて「うわー!キャラクターデザイン:氷川へきるだ!」ってなったよね。
・『温泉幼精ハコネちゃん』
可もなく不可もなく。個人的にコミックメテオにはがんばってほしい。
・『小森さんは断れない!』
尺を長くして最初からラブコメ感を売りに出していく方向でもイけた気がするが、この短さだからこそのこの作品というのもあったのだと思う。
主題歌が好き。
・『VALKYRIE DRIVE -MERMAID-』
ただのおっぱいアニメかと思いきや、過去作品の要素を贅沢に取り込みギミックやアクションシーンのレベルが高かった。でも、おっぱいアニメだ。
・『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』
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マンガやアニメにはキャラクターのテンプレートとしてしばしば「極端に世間知らずなお嬢様」が出てくることがある。そして、ハーレムラブコメの作劇には複数出てくるヒロインをいかに個性的なキャラクターに描き分けるかがポイントのひとつとなる。
それならいっそ出てくるヒロイン(ほぼ)全員をそういった「世間知らずのお嬢様」にしてしまったらどうなるだろうか? ...という前提の発想からしてじゅうぶんヤバいがこれがアニメになったことでヤバさが加速している。
いかに頭の悪いものを作るかに頭を使ってる感じがよかったが、おそらく原作では描かれていたであろう展開や要素をちょいちょい省略しているようで、そのことでストーリーがよりよくわからない感じになっていたのもまた味があった。
ダンディ坂野があまり躊躇いなく前面に出ているのもカオス感を増している。
・『かみさまみならい ヒミツのここたま』
女児向けアニメだが、ニコニコ動画で配信しているので見ている。
ここたまたちの破天荒な活躍が楽しいが「他のひとに見つかってはいけない」という制約ゆえ主人公が無駄に苦労している気がする。
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毎回ネタが多すぎてツッコミが追い付かない怪作。
実験的なテーマや30分枠だとやりにくいような挑戦的な回もあって独特。
・『影鰐ーKAGEWANI-』
いつ稗田礼次郎が出てきても驚かないぞという心持で見ていたが、ドキュメント風でもある凝った造りはやはり短編の枠だったから出来たものだろう。
怪物性、「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」というテーマがよく伝わるラストだった。
・『ご注文はうさぎですか??』
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1期は淡々としていた印象があったのだが2期になってネタ感というかギャグ要素がだいぶ増したように感じる。
・『ワンパンマン』
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ドラゴンボール的な「強い敵を倒すとより強い敵が出てくる」展開や昨今流行りらしい「俺TUEEEE」な作品を踏まえたうえで見るべきアニメといえるのだろうし、作中一強の主人公がヒーローとしてどう戦うのかというテーマを考えるのも楽しいが、アクションシーンの美麗さや漫画原作を意識した絵作りの巧みさだけを見ていても充分に見応えがあった。
・『落第騎士の英雄譚』
ライトノベル原作枠。〈魔法バトル×学園×日本刀〉でかつ学生同士のトーナメント戦がある等の点で『学戦都市アスタリスク』と比べられるが、アクションシーンはこちらがより迫力が感じられた。
説明を排するテンプレ展開やモノクロ演出等によって「自分の過去と向き合い逆境に抗する主人公」というテーマを分かりやすく打ち出すことに成功していた。
・『進撃!巨人中学校』
原作を追っていないのでいまいちネタを理解しきれていない。
これ、リアル中学生のときに見たほうが体感的に面白いやつでは。
・『ゆるゆり さん☆ハイ!』
1期、2期から制作会社が変わって、より原作の設定や雰囲気が重視された。
それによって前期のギャグアニメを押し出した面は後退し、全体的に百合百合しさが増した。
どことなく薄暗い室内描写や高岡を中心としたロケーションのリアルな地方都市の美術に独特の頽廃感が漂う。
・『コメット・ルシファー』
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こういう少年少女冒険活劇は好きなのだけれども、登場人物たちの行動原理というかそれぞれの行動の動機づけがいまいちはっきりしてこなかった。主人公の鉱物マニア設定とかもっと活かせたんでないの? とか思うところはある。
最終話が随分駆け足だったのももったいなかった気がする。
ド・モン、「主人公のお父さんポジションで元軍人のカフェのマスター」って要素だけだと『ご注文はうさぎですか??』のチノパパ(タカヒロ)と同じだし、どうして差がついたのか...。
・『対魔導学園35試験小隊』
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設定だけを取り出せば、今期の『学戦都市アスタリスク』、『落第騎士の英雄譚』と同じく〈魔法×学園×日本刀〉の要素を合わせ持つライトノベル原作アニメだが、上記2作品がバトルは学生同士のトーナメント試合(そして大抵の場合において専用のスタジアムがある)である一方、『対魔導学園~』では毎回別個の敵との戦いを通して各ヒロインを攻略していくスタイルという点で異なる。どちらかというとダークファンタジーの色が強く、荒廃した市街地の様子など何気に背景美術に力が入っているのもよかった。
・『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』
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骨描写の監修がたいへんだろうなと思わせるアニメ。
また、舞台となっている旭川のロケーション取材がかなり綿密に行われている感じがする。
出来過ぎといえるくらいよくまとまっていたし次期をにおわせる終わり方だったが、さて。
・『あにトレ!EX』
『いっしょにとれーにんぐ』とは関係ないらしいが大丈夫なのか。
主題歌が耳に残る。
・『弱酸性ミリオンアーサー』
ライブ感というよりは刹那感がある。元ネタの『拡散性ミリオンアーサー』のほうをほぼ知らないので劇中何が起こっているのかよく把握できないが、元を知っていても多分よくわからない気がする。
今期はラストが尻切れトンボな印象の作品が多々あったように思う。
来期に期待したい。
(ギリギリ年内に間に合った...)。
【備忘録】今年見たアニメをだいたい一言で振り返る2015・前半期
雑なアニメ語り記事だ気をつけろ!!
今年一年で自分がどのアニメを見たのかのメモ。
そのため口調がぶっきらぼうになっているが備忘のためにということでご容赦。
順番はおおむね放映時期順。
基本的に最終話まで見たものについて書く。
・『SHIROBAKO』
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胃が痛くなる系お仕事アニメ。
それまで断片的になんとなく語られていたアニメ制作業界の工程や裏事情への関心についてアニメファンの間に一定レベルのコモンセンスを形成せしめた。
・『アブソリュート・デュオ』
OPが本編より躍動感にあふれていた。
結構楽しんでみていたはずなのにヒロインがカワイイ以外の記憶が曖昧。
・『幸腹グラフィティ』
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『食戟のソーマ』と並ぶ、今年の料理リアクション芸アニメ。
「メシの顔」演出が果たした成果は大きい。
・『聖剣使いの禁呪詠唱』
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2015年ライトノベル原作アニメの中でもである意味レジェンド級の存在感を誇る。
明らかに作画が間に合っていないシーンとどこまで「あえてネタでやっている」のかわからないシーンが前後し視聴者をハラハラさせた。
次回予告等で自らネタにしていたセリフ「思い...出した...!」は、アニメ放映終了後も一部アニメ実況民の間で流行語みたいになっていたのが印象に残る。
・『みりたり!』
ドタバタ感がよかった。
そちらの方面の知識がないので、肝心のミリタリーネタが実際どの程度盛り込まれていたのかが気になる。
・『ローリング☆ガールズ』
かなり好きな作品。
都道府県が独立国家として群雄割拠する日本列島を舞台とする少女たちのロードムービーストーリーという世界観だけでも面白かったが、毎回物語の舞台が異なるのにもかかわらず背景美術が凝っていたのがすばらしい。
・『アルドノア・ゼロ』
分割2クールの後半。前半が地球編だとしたら後半は宇宙編か。
アクションシーンと音楽がとても印象的だったロボットアニメ。
あるいはヤッターマン的ビックリメカで宇宙戦争をしたらどうなるかという試み。
・『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』
ミルキィホームズは3期(『ふたりはミルキィホームズ』)から見始めた口なのだがあまりそれを意識することなく楽しめた。
深夜向けニチアサアニメという印象(何を言っているのか)。第1期、2期も見たい。
・『アイドルマスター シンデレラガールズ』
胃が痛くなるアイドルアニメ。
とくに物語後半、いわゆるよくいわれる単話通過的な「欝展開」ではなく、アニメの美少女がわりとリアルな鬱の初期症状に陥っていくさまを淡々と描いたことで記憶に残る。
・『艦隊これくしょん -艦これ-』
主にゲームの既存ユーザーを中心とした視聴者各方面から非難紛糾だったことで話題になってしまった作品。
いつの間にかハードルが上がってしまっていたが、“ソーシャルゲームのアニメ化”としてはそう悪くはなかったと思うのだがなあ。
・『ユリ熊嵐』
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高度に発達した百合は魔法とも科学とも区別がつかない。
・『冴えない彼女の育て方』
2期待機勢。
まさかのノイタミナ枠で放映されるとは...というのを公式がさんざんネタにしていた作品。
2015年太ももフェチアニメ・オブジイヤー。
・『夜ノヤッターマン』
過去の名作アニメの世界の「後日譚」を描く。
作画の崩れが見られた箇所もあったものの、おおむね好印象だった。
幼女ドロンジョ様という新概念が提示されたことで一部の界隈がざわついたであろうことは想像に難くない。
・『アニメで分かる心療内科』
アニメで分かる(大嘘)。
CV.三木眞一郎のツッコミを楽しむアニメだった。
・『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』
ウェブで公開されるや原作ファンかどうかにかかわらず波紋を広げた。
第一印象としてはひと昔前のフラシュアニメに『サムライジャック』と『キルラキル』を足してさらに濃い何かを注いだ何か。
TV版はいったいどうなるのだろう。
・『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』
「例の青いヒモ」ブームを巻き起こしたことで特筆される(...と特筆しておかないと忘れてしまいそうなのであえて書いておく)。
見てたときは面白かったし、『ドルアーガの塔』等のRPG作品の系列につらねられるが、特別何がよかったのかというとよく思い出せない。
・『長門有希ちゃんの消失』
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リボルド作品を『涼宮ハルヒの憂鬱』のキャストをそのまま引き続きアニメ化。
前半はややたるさもあったが第11話以降はアニメでやる意味が大いにあったと思わせた。エンドレスエイトをオチに持ってくるのはズルい。
・『山田くんと7人の魔女』
展開にやや駆け足な印象もあったが、1クールでうまくまとめていて終わり良ければ総て良しと言う感じだ。
本編に必ず差し挟まれるOP曲はなんだったのか。
・『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』
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制作会社がブレイズ・ベースからfeel.に変わり、キャラクターデザインも一新されたこともあって第1期とだいぶ画面の印象が違った(すぐ慣れたけど)。
ラストは続きが気になる落とし方をしていたが、原作は既刊をだいぶやり切ってしまったようなので、もしさらにアニメ続編があるとしてもだいぶ先かなあ。
・『グリザイアの迷宮』、『グリザイアの楽園』
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思えば作画や音楽、声優など贅沢なアニメだった。
ゲーム原作をエンディングまでやり通しただけあり前シリーズと合わせて見応えがあった。
・『響け!ユーフォニアム』
続編および劇場版待機。あまりゆるふわでない部活系アニメ。
『SHIROBAKO』、『アイドルマスター シンデレラガールズ』と並ぶ2015年胃が痛くなるアニメの並びに入れたい。
・『旦那が何を言っているかわからない件 2スレ目』
まさかこれが声優たてかべ和也の遺作になるとは...。
・『境界のRINNE』
2期待機。るーみっくワールド愛好者御用達アニメ。
『らんま1/2』のノリのアニメが2015年に新作で、しかもNHKで見られる悦び。
・『シドニアの騎士 第九惑星戦役』
原作は未読だがファンの受けが非常によかったもよう。
SFアニメとしても今年のCGアニメとしても傑作だった。
ヒロインの中で触手がいちばんかわいいという。
・『プラスティック・メモリーズ』
ロボット/アンドロイド少女との悲恋ストーリーは好きなのだけれど、SF的にはあまり成功していたとは言い難かった。
動画工房だけによく動いていたし、ラブストーリーとしても中盤はわりと盛り上がりがあっただけになんとももったいない感じ。
・『放課後のプレアデス』
最高だった。
・『てーきゅう 4期』
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およそ1年3か月ぶりのてーきゅう。
各話ひとつひとつの内容がどのようなものだったか正直よく覚えていないのだがたとえ宣伝がメインの目的だったとしても一定にほぼ同質のものを発し続けるのはすごい。
・『高宮なすのです!』
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吹き抜ける季節風のようなアニメだった。
・『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』
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第1期から見ているけどもこれだけシリーズが続いていてもなおてさぐってる感じが抜けないのは果たしてどこまで意図的にやっているのか。
放映中に監督が自ら降板したことでネタのメタレベルおよびライブ感に磨きがかかった。
・『ミカグラ学園組曲』
なぜか全編面白く見てしまった。
麻薬的な何かがあるのかもしれない。
・『SHOW BY ROCK!!』
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続編待機。
元がゲームアプリとは思えない全方向へ向けられたサンリオからの刺客。
・『Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 2ndシーズン』
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DEEN版は未見。分割2クールの後半。
真面目にバトルしてる枠。
ZEROを見ていたので自然な流れで見ることができた。
最近観た映画 : 『さよなら、人類』、『ガールズ&パンツァー 劇場版』、『ハーモニー』
『さよなら、人類』
11月1日に観た。
スウェーデンのロイ・アンダーソン監督の「人間についての3部作」の完結作。前の2作は未見。
劇中のひとびとの顔が妙に白っぽく見える(そしてそれが作品世界がこの世のものでないような雰囲気を演出している)のは何故かなと思ってパンフレットにもとくに書いていなかったので帰ってからググったら「登場人物たちの顔が白塗りなのは、表情を表に出さず、身体で感情を表現する日本の「能」の影響からです」という監督のコメントが日本語で出てきた。IT社会(死語)。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
11月25日に観た。
TVシリーズはリアルタイムでは見ていなくてかなり最近になってDVDとCATVでまとめて見たのだが、TV版より火薬マシマシの砲撃戦は劇場で体感してこその迫力。容赦なくぶっ放される砲弾とためらいなく破壊される市街地のカタルシス。惜しみない総火力。音響が体に響く響く。謎カーボンの謎を信じろ(ていうかあの世界の実弾は本当に現実の実弾と同じ概念のそれなのだろうか?)(※追記:あとで調べたらどうも現実の実弾と同じ概念のそれではないハイテクノロジーの産物らしいですね。なるほど) *1。
従来の登場人物に新規キャラ、そして何より各校の戦車それぞれに出番があり、それでいてとって付けた感がほとんどないのは見事だった。ほかにも海沿いの木造校舎での臨時の仮生活とか西住姉妹の幼少時の夏の思い出とか、ファンの期待を裏切らない造りとはこういうことを言うのだなと感慨深い。映画に関してはこれで今年の悔いはもう何もない。
『ハーモニー』
11月25日に観た。
百合系雰囲気SF映画。個人的にはおおむね楽しんで見られた。まあ、原作:伊藤計劃というクレジットだけですでにハードルが上がっているわけで、よっぽどうまく作らない限りSFファンからの批判は免れなかったであろう作品。
内容に関しては肝心のSF描写が甘いというのも事実そうなのだろうが、御冷ミァハの「ただの人間には興味がないの」という例の台詞は本人が教室で言っているところを正面から映さないとパロディの意味がないだろ! 等々憤りを覚えた向きは三巷文のコミカライズ版を読もう。
皮肉になるようだが、ではひとつの映画として駄作と言いきれるかというと難しく、SF的な細かい矛盾や原作との相違をとくに知らずに見ればむしろ映像作品としてのクオリティは高いんじゃないだろうか。
原作では物語序盤に語られていたミァハとトァンの学生時代のやりとりが、映画では断片的な回想として要所要所に差し挟まれるなど構成上の工夫は見られるし、独立した作品としての「お話」そのものは全否定されるほど悪くはなかったと思う。ただ、それらの工夫が果たしてうまくいっていたのかどうかはあやしく、例に挙げた回想シーンなどはどうも過去の現実の出来事というよりもミァハとトァンの心象風景もしくは新房昭之的・シャフト演出的な記憶を再構成した映像だったのではないかという印象を受けた。
また、背景美術が美しいだけに登場人物の衣服や建物等のSF的ガジェットのデザインがいまひとつ洗練されていないあるいは考証不足なのもどうにも浮いている。
原作準拠で見れば映画のラスト改変には異論があるだろう。しかしあくまで単体の作品として見れば、あれはあれでありなのではないかと思った。意識が失われた世界の到来を告げる幕引きの仕方もよかった。......だがやはり、納得に足る世界観の魅せ方という点ではガルパンに負けてる感が強い。
繰り返すが、個人的にはおおむね楽しんで見られたのだ。ホントだってば!
あと、「Project Itoh」は真相に迫る途中で死ぬロシア人キャラをCV三木眞一郎にするノルマでもあるのか。
『ハーモニー』のノリがありなら『不動カリンは一切動ぜず』をアニメ化しようぜ。
最近観た映画 : 『心が叫びたがってるんだ。』、『屍者の帝国』、『リトルウィッチアカデミア / リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』
『心が叫びたがってるんだ。』
10月9日に観た。
正直に言うと公開前から公開期間中までに繰り返された、いかにも泣かせにきている、あるいは感動の押し売り的な、もしくは男女のカップルで見に来ることを前提としているかのようなコマーシャルの仕方が苦手と言うか少々鼻についたのは事実だったが、内容は至極よかった。
岡田磨里脚本作品だがハートフルボッコな雰囲気は抑制され、しかしベタベタのラブストーリーになることはなく、全体的にどことなく暗い不安定さを感じさせる。そういう独特のドキドキ感があった。
演劇や部活を題材としたアニメの、本番直前になってヒロインが怖気づいているところを男の声によって奮起するという王道の展開を踏む一方で(ごく個人的な事情だがつい最近『CLANAD』と『電波女と青春男』を見ていてどちらの作品にも似たシチュエーションが出てきたのだった)、恋愛ものにおける男側の鈍感さ、優柔不断さが、男女の関係に対してある種のミスリード的な役割を果していて巧み。
個人的には『あの花』より好きかもしれない。
余談だが、黒ストッキングをはいた脚の描写に、他の人体表現に比べてフェチズムを感じたのはおそらく気のせいではないと思うが、どうか。
『屍者の帝国』
10月14日に観た。
この作品に関しては公開前から各所ですでに相当語られている感があるのでいまさら何か書くのも気が引けてしまうのだが、原作『屍者の帝国』を大胆にカット・改変しつつファンの期待を裏切らない造りになっていたと思う。
何よりスチームパンクアニメ映画として傑作の部類に入るだろう。『スチームボーイ』、あるいは『メトロポリス』あたりの作品と並べて見たい。
『リトルウィッチアカデミア / リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』
10月14日に観た。
TRIGGERらしい疾走感ある映像表現がギュッとつまった佳作。
詳しい世界観とかどうなってんだろ? というような疑問を勢いでぶっ飛ばしていく爽快感があるが雑なわけではなく、アナザーストーリーがいくらでも作れそうな印象。
カートゥーンっぽさがやや強めでアメリカの上映で大好評だったというのも納得。
主題歌がけっこう好きだ。
アニメしか見てねえ。
最近観た映画 : 『約束の地』、『バケモノの子』
『約束の地』
9月1日に観た。
パンフレット等には「日本人にとってはまさに“この世の果て”というべき荒々しくも神秘的な絶景をバックに(...)」とあって、たしかにロケ地となっているパタゴニアとアルゼンチンは地理的に日本から最も遠い土地ではあるが、荒涼とした岩盤の続く傾斜地を延々と登り続ける描写は、むしろ欧米のひとびとの想像する“この世の果て”のイメージを強く反映しているように思われた。観るひとに多くの解釈を問いかける作品。
『バケモノの子』
9月11日に観た。
とにかく映像のクオリティが圧倒的。少年が居場所を求めて成長していくさまがひじょうにスピーディーに描かれ息つかせない。登場する「バケモノ」たちがバケモノと言いながら総じて動物モティーフに限定されているのが寓話性を高める(そもそも英字タイトルが"The Boy and The Beast"なのであるから)。ただ、これまでの細田守監督作品に比べて主要ターゲットの年齢層をやや低めに設定しているように感じた(漠然と受けた印象は「どことなく『少年ジャンプ』っぽい」だったりする)。そのせいか(...はわからないが)登場人物たちがいかにも主人公の成長のために配されている感は否めないが、それらを差し引いても今夏アニメ映画のかなりの良作であることは間違いない。これは誰かも言っていた気がするが、リリー・フランキーのやさしく昔話を語りかけてくるような声が存外いい。
妖怪と宇宙人となつかしさのカタチ : 青田めい『うにうにうにうに』
「宇宙人」兼「妖怪」というキャラクター
青田めい 『うにうにうにうに』は、河内家に居候させられることになった〈うに〉、河内家長女の〈ユキ〉 、末っ子で中学生の〈いわな〉、いわなの双子の姉〈やまめ〉、そしてうにの姉〈なまこ〉を中心とした日常系4コママンガである。
ある日、ユキ姉ちゃんが外で拾ってきたのは、地球で迷子になった、「宇宙人」兼「妖怪」兼「ちびっ子」の“うに”だった。家族のいる宇宙に帰りたい“うに”と、帰したくない河内家のドキドキ同居ライフ第1巻!
本作品は登場人物のひとりである〈河内いわな〉の以下のような伝奇風モノローグから始まる。
晩ごはんを食べていると いつの間にかおかずが減っている事がある
それをいつも俺は3人いる姉の誰かのせいにしていたけれど
どうやらそれだけではないらしい(1巻より)*2
いつの間にか食卓のおかずが減っている。それはいわなの姉〈河内ユキ〉が家に(無理矢理)連れてきてしまった〈うに〉の仕業であった。
- 人に気付かれずおかずを1品ぬすむ
- 人のソデをひいていたずらする*3
これら2点が「妖怪」としての〈うに〉の能力なのである*4。
『うにうにうにうに』のメインキャラクター〈うに〉は「宇宙人」兼「妖怪」兼「ちびっ子」であると設定されている。
「宇宙人」兼「妖怪」であることの背景は以下のように説明される。
むかしむかしうんと昔 地球に宇宙人がこっそりやって来ました
宇宙人は地球人に色々な名前で呼ばれるようになり 日本では妖怪・幽霊と扱われるようになりました
でも最近の地球は空気も汚れてきたので 「そろそろまた別の星に行くか~」 という事になったらしいのですが
(1巻より)*5
さまざまな妖怪的存在の正体が実ははるか昔に地球にやって来ていた宇宙人だった、というのはマンガ的にはもっともらしい話であると同時に多くのフィクションでよく使われる設定でもある(影山理一『奇異太郎少年の妖怪絵日記』では「カッパ」を題材に逆にギャグのネタにされていた)。〈うに〉は、宇宙人同士の連絡網が回ってこなかったために他星への移住に取り残された宇宙人のひとりであった。
また 「ちびっ子」という設定については、猫のようなケモノ耳にしっぽ、色味の薄く明るい頭髪に子供っぽい髪型、幼い見た目に反し高齢である点(アラウンドフィフティー)など、最近の多くの萌え系妖怪キャラクターの常套が押さえられている。
妖怪 / 宇宙人キャラクターと〈懐かしいカタチ〉
編み笠を被り赤い着物にフリルのスカート、ブーツという〈うに〉の出でたちは、スカートとブーツはともかくとしても、おそらく「妖怪」らしく見えることを意図してデザインされているものと想像される(フリルのスカートとブーツは「妖怪」を連想させる要素とはいえないが、4コママンガのコマ割りの性質上キャラクターの腰から下が画面に入ることは少なく、読んでいてそれほど意識される点ではないためあえて例外的に扱う)。このようなデザインはどのような理由に起因するものか。そもそも笠と着物で何となく「妖怪っぽく」見えてしまうのはなぜか。
京極夏彦や菊地章太によれば、妖怪は懐かしさを感じさせる存在であるという。
京極夏彦は通俗的"妖怪"のイメージを満たす条件として以下の3つを挙げている(『妖怪の理、妖怪の檻』)*6。
A・妖怪は"前近代"的である。
B・妖怪は"(柳田)民俗学"と関わりがある。
C・妖怪は"通俗的"である。
そのうえで、「"妖怪"は懐かしいものである」「"妖怪"はA~Cの条件を満たす(それぞれの)そうした場所――現実には存在しない観念上の故郷、観念上の思い出――それぞれの原風景の中に住んでいる(に相応しいだろう)モノどもなのです」*7と定義する。
菊地章太は「なつかしさにつながっている──現在の否定としての妖怪の存在理由」(2015年)において次のように述べている。
宇宙人は未来からやって来るタイプである。空飛ぶ円盤のイメージはいつだって近未来型である。しかし、妖怪はちがう。その反対である。過去からひょっこり出てくる。ひと昔もふた昔もまえの世代を体現している。だからこそ、かえって今を否定することができる。現在の秩序や常識をくつがえす別の価値観をたずさえているのである。*8
ここでは、宇宙人=未来のイメージ・近未来風の姿、妖怪=過去のイメージ・古風な姿と両者が対置されている。
もちろん上述の主張に対し、妖怪は本当に「懐かしいもの」と言い切れるのかどうかとか、宇宙人を「未来からやってくるタイプ」とくくってしまうのはいささか大雑把に過ぎるのではないか、という指摘をすることもできるかもしれない。ただ、こと近年のフィクショナルな対象を考えるにはある程度有効な指標だと考え、これらを前提として『うにうにうにうに』のキャラクター造形に対する解答を示してみたい。
たとえば「宇宙人」であり「妖怪」でもある〈うに〉というキャラクターの、着物に編み笠姿という造形は京極夏彦のいうところの〈懐かしいカタチ〉*9に当てはまるものであるといえるだろう。
そのような意味において、〈うに〉のデザインは宇宙人らしさよりも妖怪らしさが強調されている(でも、うにの姉の〈なまこ〉は、さらしにジャージ着て原付バイクで登場するんだよな)。
妖怪は〈懐かしいカタチ〉をしている。妖怪の正体は地球に来た宇宙人である。ならば、その宇宙人も〈懐かしいカタチ〉をしているかもしれない。
〈うに〉というキャラクターの造形には以上のような企図を読み取ることができるのではないだろうか。
「妖怪」兼「宇宙人」を受け入れるための作品世界
『うにうにうにうに』の世界において「妖怪」の正体は「宇宙人」であり、〈うに〉は宇宙人らしさよりも妖怪らしさがより打ち出されたされたキャラクターである。では、物語の主人公でもある〈うに〉自身の本質、拠りどころ、起源は何なのか。それがどうもはっきりしない。
〈うに〉の意識は物語が進むにつれて「帰りたい」→「帰りたくても帰れない」→「なんだかんだ言って帰らない」→「帰りたくない(帰ることが自由と思えない)」と変化している。
帰りたいと言いつつそのジツなかなか帰らない(帰りたくない)。そのように思っていても、離れた故郷をなつかしく想わずにはいられない。それはいわゆるノスタルジアの心情であり、〈うに〉自身のノスタルジアは故郷である宇宙に向いているといえるだろう。
(このノスタルジア(なつかしさ)はあくまで「宇宙人」としての〈うに〉の心情である。河内家に来る以前、「妖怪」としての〈うに〉が地球のどこでどのように過ごしていたのかということは――たとえば、いかにもノスタルジックな田舎で妖怪的な活動をしていたのかもしれないというようなことは――物語の中でまったく描かれていない)。
〈うに〉は物語の前半こそ「かえりたい」と繰り返し訴えるのだが、作中において彼女の帰るべき故郷の姿はひじょうぼんやりとしている。〈うに〉と〈なまこ〉の姉妹は作中で頻繁に故郷の父親と矢文(「うちゅうデンポー」)で手紙のやりとりをする。しかし地球にやって来た姉〈なまこ〉以外の家族がどのような姿をしているのか、また彼女たちの故郷が具体的にどのような光景なのかという描写は一切ないのである(それを言ったら河内家の父母が家にいない理由もとくに語られないのだが...)。〈うに〉は漠然と「うちゅうにかえりたい」と言うだけで、はたして特定の母星があるのかすら曖昧だ。
ストーリーの中心となるのはあくまで河内家のひとびととの楽しくも少しずれた日常であり、全編に渡って物語のフィールドがそこから動くことはないのである。
この日常系補正とでもいうべきストーリーの強制力は作品のSF設定にも働いている。単行本第2巻において、それまで不在だった次女〈河内サツキ〉が登場する。彼女はフランスで宇宙の研究をしており、お盆のため実家に帰省してきたのだ。そしてこの〈サツキ〉によって宇宙人〈うに〉に関する他者視点の情報がはじめてもたらされる。
彼女は〈うに〉が「ニャルニャロ型宇宙人」だと指摘し、以下のように語る。
「ニャルニャロ型宇宙人は猫のような耳を持ち 色素はうすく… 青い目をした人型の宇宙人です! 知能は極めて高く狡猾な性格で 心無い種族ゆえにその存在は一般人には秘されているのです! 今すぐ追い出すべきです!」
(2巻より)*10
しかし新展開を予感させた〈サツキ〉の到来も、彼女が〈うに〉をかわいらしい愛玩対象かつ観察対象として受け入れてしまうことにより結局なあなあになってしまう。
日常系とかわいらしさがすべてにおいて優先する。河内家のひとびとは〈うに〉がかわいいがゆえに手放したくない。最初はそこから脱出したかった〈うに〉も周囲に甘やかされているうちに次第に馴染んでいく。そうして、〈うに〉という本来異質な存在を強制的に溶け込ませる舞台が成り立っていく。作者があとがきで記しているように、『うにうにうにうに』という作品の主眼はまさに「うにちゃんとどうやって遊ぼうかな?」*11というところにあるといえる。そのためには、故郷がどこであるのか、況して本質が妖怪か宇宙人かという設定のあれこれはストーリーから後退してしまうのである。
オチはない。
しかしいわゆる「民俗学っぽい」(と言ってよいのかわからないが)イメージで見られる妖怪キャラクターが読み解かれるキーワードとして現状求められているのが「いま」でも「ここ」でもないというのは皮肉だと思わずにはいられない(どの口が言うかという話ではあるが...)。
*1:"まんがタイムきらら - 作品紹介ページ - まんがタイムきららWeb" http://www.dokidokivisual.com/comics/book/past.php?cid=936
*2:青田めい『うにうにうにうに 1』(MANGA TIME KR COMICS)、芳文社、2014年、9頁
*4:青田めい、前掲書、12頁・20頁
*5:青田めい、前掲書、12頁
*6:京極夏彦『文庫版 妖怪の理、妖怪の檻』(角川文庫)、角川書店、2011年、352頁
*8:菊地章太「なつかしさにつながっている──現在の否定としての妖怪の存在理由」、小松和彦編『怪異・妖怪文化の伝統と創造 ウチとソトの視点から(国際研究集会報告書 第45集)』、国際日本文化研究センター、2015年、19頁
*10:青田めい『うにうにうにうに 2』(MANGA TIME KR COMICS)、芳文社、2015年、46頁
*11:青田めい、前掲書、119頁