最近観た映画:『ミッドサマー』『劇場版 ハイスクール・フリート 4D版』
・ミッドサマー
『ミッドサマー』本国ティザー予告(日本語字幕付き)|2020年2月公開
2月21日に観た。
とにかく画面が美しい。やはり絵コンテがキマッている映画はよい。ストーリーラインはきわめて単純。人間関係に問題を抱える学生グループが古い因習の残る山村で悲劇に見舞われカタストロフィとカタルシスに至る。あっと驚くどんでん返しだとか、意外な展開ということはほぼ起こらない。こうなるだろうな、こうなったらイヤだな、こうなったら怖いなという展開が矢継ぎ早に繰り出される。観客が「こういう怖いことが起こるに違いない」と予想してしまう画やシチュエーション「だけ」で映像を構成することで、あえて怪奇な造形物や効果音を用いずともじゅうぶんな恐怖感を煽ることができるということを映画全編を通して示している。しかもそれを画面の隅々まで緻密に計算してやっており(空や山はもちろん、花冠の一つから卓上の料理に至るまで歪んだCG処理を施す徹底ぶり)、それでなお成功しているのが素晴らしい。意図することとそれを成功させることは別なのだ。そういう意味で、これは観客のホラー映画へのリテラシーを信頼し、そこに依拠している作品であると言うこともできるか。でも、ストーリーのアイデアのもとにあるのは監督の実体験だとか。怖い。
・劇場版 ハイスクール・フリート 4D版
2月21日に観た。
同題テレビシリーズの劇場版。百合。基本的には学園ものである。今回はテレビ版ではあまり出てこなかった他クラス・他校の生徒の他、いかにも劇場版・OVA版っぽい異国少女キャラも投入され、登場人物はテレビ版よりもずっと増えているはずなのだが、キャラクターの関係性の描き方はむしろテレビ版よりも限定されている。船上の教室内群像劇といった感のあったテレビ版に比べ、劇場版では他のクラスメイトや追加キャラクターたちの存在は後景化し、艦長・岬明乃と副長・宗谷ましろの二人の駆け引きを前面に置いて描く。劇場版オリジナルの脅威として、海上要塞を占拠する海賊集団が登場するが、序盤から丁寧に張られた伏線は中盤以降急速に収束し、その実態もあまり描写されないままで、海賊そのものは話を盛り上げる以上の役割を持つことはない。ここでは世界の危機は岬明乃と宗谷ましろの二人の関係を結び直すための道具立てと化しているのだが(そういえばテレビ版に出てくる「RATtウィルス」も結局劇中でその設定が深掘りされることはなかった)、その点にこそセカイ系百合のお手本とでも呼ぶべき作劇の妙がある。クライマックスの艦船アクションはアニメならではという感じで見もの。
しばらくやっていなかったけど、今年はまた映画の感想をぼちぼち書いていこうかなと思います。
CiNii 論文 ツイートまとめ ( 2019/03/17,2019/03/19 )
"CiNii 論文 - 成人期の生と死に対する態度尺度の構成" https://t.co/N3wiYbT23X ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月17日
"CiNii 論文 - 葬送儀礼の多様化にみる霊魂観" https://t.co/WCbhOlCGqw
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月17日
"CiNii 論文 - 編集者清水正光と戦前期人文書院における日本文学関係出版 : 日本心霊学会から人文書院へ" https://t.co/nkXCa1AXXJ
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月17日
"CiNii 論文 - 催眠術と霊術のあいだ : 『心理研究』応答欄の分析を中心に (催眠をめぐる歴史からの学び)" https://t.co/Ssdngy7C8f
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月17日
"CiNii 論文 - 公用語ポルトガル語の正当性の確立に関する一考察" https://t.co/KWjPvbi0B4 ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 何度目かの邂逅 : 東ティモール・ディリの都市集落における和解儀礼について" https://t.co/BsAHfJv2FT ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - ティモール島国境の「ねずみ」たち : 東西ティモールの密輸と「和解」" https://t.co/94g3FY0KJl ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 従属したアニミズム秩序 : チェンマイにおけるプーセ・ニヤーセ精霊祭祀" https://t.co/XMrxUpjWiF ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 韓国音楽学者李輔亨による湖南右道農楽録音資料の比較考察" https://t.co/3KqXn8p9Oh ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 「魂」(bla)を呼び戻すチベットの儀軌「ラグツェグ」(bla 'gugs tshe 'gugs) : ニンマ派伝承の祈祷書の訳注と儀軌の記述" https://t.co/jo793reTxM ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - ティモール・レステの伸縮するナショナリズム : ライ・ナインとライ・ティモールの間で" https://t.co/TGnhOxWwTy ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 「大主教殺害事件」の被害者の「再埋葬」と記念儀礼:「2016年ウガンダ総選挙」に働く死者のエージェンシー" https://t.co/R5pNWbfRO5
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 生理用品の受容によるケガレ観の変容:パプアニューギニア・アベラム社会における月経処置法の変遷から" https://t.co/y7r5zahRet
— もりたねこ (@morita11) 2019年3月19日
"CiNii 論文 - 死者祈念儀礼をとおして生起する共同性:ウガンダ共和国のアルル人におけるリチュアル・シティズンシップ" https://t.co/wED1FBC3ln
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"CiNii 論文 - 呪術とは何か : 近代呪術概念の定義と宗教的認識" https://t.co/uWtCU6nbZc
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CiNii 論文 ツイートまとめ ( 2019/02/17 )
"CiNii 論文 - クィア・セクシュアリティを読むことの可能性 : 谷崎潤一郎「秘密」から江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」へ (特集 クィア・リーディングとは何か)" https://t.co/1rPxOBc88o
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 彼等もどうやらさうした二人らしいのであつた : 梶井基次郎『ある崖上の感情』を読む (特集 クィア・リーディングとは何か)" https://t.co/IRqQZJFySf
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 断片化に抗う : 『ナチュラル・ウーマン』受容史とクィア・リーディングの行方 (特集 クィア・リーディングとは何か)" https://t.co/m32uh51x38
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 出向者のクィア・リーディング : 伊藤計劃『虐殺器官』と津村記久子「十二月の窓辺」 (特集 クィア・リーディングとは何か)" https://t.co/ZdEi69OMIK
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"CiNii 論文 - 『昭和戦前期プロレタリア文化運動資料集』から見えてくるもの" https://t.co/4lzBN8YDjZ
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"CiNii 論文 - 創造的営為としての怪異怪談研究を「開く」ために" https://t.co/S85GXHjP7G
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"CiNii 論文 - イギリスにおけるクィアな芸術とスピリチュアルな言説: ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』(1928)を中心に" https://t.co/sB5b94CWz5 ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 空白の「文学史」を読む : プロレタリア運動にみる性と階級のポリティクス" https://t.co/rxlFuwri3G
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"CiNii 論文 - 萩原朔太郎『月に吠える』と戦争 : 日露戦後/大逆事件/世界戦争と『月に吠える』期の朔太郎" https://t.co/8ytzh0sf4T
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"CiNii 論文 - 「科学的精神」の修辞学 : 一九三〇年代論壇の「科学」ヘゲモニー" https://t.co/Uy7L62xAbA
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"CiNii 論文 - 倉橋由美子『聖少女』論 : 契約するマゾヒスト" https://t.co/OOO6iFsCPw
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"CiNii 論文 - 怪異を拓く : 清水潤『鏡花と妖怪』と怪異怪談研究の可能性" https://t.co/N7mzj7Lzkz
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"CiNii 論文 - 海野十三における南方体験 : 科学小説を視座として" https://t.co/L9JBEDjirC ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 桜庭一樹によるジェンダーの(脱)構築 : 『GOSICK』の主人公を中心に" https://t.co/4kjvHsQZ4o
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"CiNii 論文 - 〈研究ノート〉J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズと小野不由美の『十二国記』シリーズにおける主人公像の共通点と差異" https://t.co/2ERmdckA21 ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 〈社会的な死〉を刻印された者たちへ : 桐野夏生『グロテスク』における追悼のゴシップ" https://t.co/KsOAzgOfFq
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"CiNii 論文 - メディアミックスに関する日本出版人の認識と実践に関する質的研究 : ライトノベル編集者を中心に" https://t.co/3rxe2qAjw0
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"CiNii 論文 - 佐伯千秋伝記研究のための覚書 : 「少女小説」戦後第一世代作家の様相を明らかにするために (岩下紀之教授退職記念)" https://t.co/kr8z1a2VXV ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - シングルマザー物語としての『博士の愛した数式』 : 家政婦という装い (岩下紀之教授退職記念)" https://t.co/BKZ7eohKOi ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 動物たちの"Unconscious Bias" : ディズニー映画『ズートピア』から" https://t.co/4WGLPMDmP2 ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - イギリスにおけるミステリー黄金時代の女性作家作品の比較分析 Christie, SayersとAllingham" https://t.co/4G1FBNt53U ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - エンブレムと鏡 : セーヴ、ロンサール、ベローにおける鏡のモチーフ" https://t.co/FmiGxgjvxd ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - ディズニー版『白雪姫』のりんごをめぐる物語の変容 : 「毒」から「かわいい」への変遷" https://t.co/4dsFsFzVEu ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 『夜窓鬼談』における動物物語に関する研究 : 「藤生救雀」 を中心に" https://t.co/439m1kSnya ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 嬰児殺しをめぐる言説の再検討 I 論争の背景" https://t.co/YreJxnVhCG ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - アリスはいかに歌われてきたのか : アリスとポップ・ミュージック" https://t.co/NmDRa7Af7p
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"CiNii 論文 - 永代静雄試論 : 刃物を振るうアリスと美少女パイロッ"ト https://t.co/8YYVYxFoyb
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"CiNii 論文 - 「芭蕉」使用の分水嶺 : 横溝正史『獄門島』論" https://t.co/EdrmZwcvvo ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 夢野久作『少女地獄』の世界 : 漂流する「嘘」「愛欲」「憎悪」" https://t.co/Y1yxdpwII2
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"CiNii 論文 - 上書きされる主体の意味 : 冷戦物語としての「バナナフィッシュにうってつけの日」、「シーモア : 序章」" https://t.co/uwCgAVu5cp ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 沖縄人を見つめるアメリカ兵の視線 : 沖縄を舞台にしたアメリカ小説における米軍占領" https://t.co/ARmXJhs01t ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 電気仕掛けのプロメテウス : アーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』における照明表象" https://t.co/bkAui2zrjQ
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"CiNii 論文 - ジョージ・オーウェルのコンプレックス : 幻想と現実の戦争" https://t.co/MwLtsKuv6y ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - オーウェルの作品を貫く精神 : ディーセンシィ" https://t.co/rVveXCJ5Pv
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"CiNii 論文 - 少女小説と人形ファンタジー" https://t.co/xoHwpFlBcq ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 「二十年代派」詩人ナポレオン・ラパシオティスの幻想短編小説群" https://t.co/uMHP1CdBPr
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"CiNii 論文 - ヨルバ映画(ナリウッド)における呪術的特徴 : 31作品についての考察" https://t.co/GHYO54CKRK ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 映画《グッバイ、レーニン!》における〈父〉のイメージ : 国民と祖国の再生 (大庭宣尊教授退職記念号)" https://t.co/2xosoDn90k ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 満鉄の観光映画 : 『内鮮満周遊の旅 満州編』(1973年)を中心に" https://t.co/n4SkpRkx9z
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"CiNii 論文 - 『空の大怪獣ラドン』における特撮の機能:怪獣映画の「アトラクション」をめぐって" https://t.co/cU5ujlQHKH ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 『時事漫画』にみる「サラリーマン」の誕生" https://t.co/xEMK2EElLg
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"CiNii 論文 - 日本の漫画作品に描かれた考古学者(4)2000年代" https://t.co/z4LKWN1YJy
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"CiNii 論文 - マンガ「超香少年サトル」に現れる香りの科学的解析(その1)「食べ物や飲み物」に関わる香りの分子" https://t.co/BnYGYyCMJN ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 動物の名付けをめぐる対立 : 赤坂アカ『かぐや様は告らせたい : 天才たちの恋愛頭脳戦』と動物倫理をめぐって (小特集 名前は誰のものか : 現代小説とマンガの検討から)" https://t.co/wMMopDeS12
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"CiNii 論文 - ロマン主義としての「少年マンガ」にみるニヒリズムと倫理の現在 : 『進撃の巨人』と『僕のヒーローアカデミア』" https://t.co/1iGnXpuyKq ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 「魔法」という矛盾 : 「魔法少女」形成期における「魔法」の位置付けについて" https://t.co/al7Jx5vvTn
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"CiNii 論文 - アニメ研究 『Madlax』におけるジャンル規定概念の撹乱 : 仮構的パースペクティブとハイパーナチュラルな演出手法(2)" https://t.co/V0Qi6mfvOp
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"CiNii 論文 - (続)教室でミステリを考えること : アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』、テレビアニメ『氷菓』およびその原作米澤穂信『愚者のエンドロール』を夏休み明けの教室で" https://t.co/oLkOTu1P5s
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"CiNii 論文 - 漫画・アニメにおける芥川表象の変遷 (第12回大会開幕記念シンポジウム マルチメディア時代の芥川龍之介の表象 : 文学の流通・越境・再生産)" https://t.co/RexS0UDRNv
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"CiNii 論文 - ビデオをめぐるメディア経験の多層性 : 「コレクション」とオタクのカテゴリー運用をめぐって" https://t.co/ApXpP3JvNf
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"CiNii 論文 - アニメオタクのステレオタイプ : 共起ネットワークと対応分析を用いて" https://t.co/0FrRtYMyuH ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - ポケモンと現代世界 : 変容するゲーム空間" https://t.co/LrNNugzt2v
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"CiNii 論文 - スマートフォンゲームの観光メディアコミュニケーション : 『Pokemon GO』のフィールドワークからの観光の再定義" https://t.co/rYbvIJ5xhV ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - ポケモンゴーパーク「横浜」にみる監視・管理から操作・誘導への社会学 : ポケモンGOの社会学 3" https://t.co/b6zRdX2id9 ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - ゲームに現れる宗教感覚 : 『FINAL FANTASY ⅩⅤ』を一例に" https://t.co/mgh5iURiAX
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"CiNii 論文 - THE IDOLM@STERにおけるキャラクタ音声とキャラクタ・ソングの研究" https://t.co/nYOmbR3LxJ
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"CiNii 論文 - 現代アニメーションで好まれる声の考察 : 声優と俳優を比較して" https://t.co/mLv4hwuJMM
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"CiNii 論文 - 現代日本における声優の歴史 -声優の誕生と黎明期- "https://t.co/HXh1OiP9L9 ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 日本文化における「声」" https://t.co/vVzYGMzOLX ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 動画配信サイトに見る視聴者と配信者の関係" https://t.co/fDCF5Z5Pw8
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"CiNii 論文 - SNSにおける方言使用の実態 : エセ方言はいつ、誰に使うのか" https://t.co/M0GoozbxaI
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"CiNii 論文 - 「かわいい」から考える日本と日本語 : 言語から文化をとらえる授業の試み" https://t.co/6zo3Vud9Dw
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"CiNii 論文 - 「打ち言葉」におけるネコキャラクターの役割語「ニャ」の使用状況 : フィクションにおける使用状況と対比して" https://t.co/B8rpMp7UK9
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"CiNii 論文 - サブカルチャーの文脈において萌えを連想させる関連語についての研究" https://t.co/kf1TZEEjQe ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 演歌とは何か? : 大正ロマンから昭和アイドルへ" https://t.co/vGReJrAOhE ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 〈論説〉アイドル150年 : アイドル・ブームと長期波動" https://t.co/Z04mD6DfRL ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - アイドル「解散」で可視化される論理と感情 : ネットニュースの計量テキスト分析" https://t.co/RoZlm5JMa1
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"CiNii 論文 - [論文]日本社会における「未熟さ」の商品化 : ジャニーズタレントのファン行動を読み解く" https://t.co/2WRl0ysAzO ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 占領期における女優・田中絹代のスターイメージ : 「投げキス事件」の受容をめぐって" https://t.co/z4dCypmCDe
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"CiNii 論文 - 資生堂PR映画における〈企業自我〉の表象" https://t.co/0bvaJv9XEj ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 反駁するイメージ : エイズ表象をめぐるマスメディアと文学の関係" https://t.co/GXo9lZY8j8
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"CiNii 論文 - ヨーロッパから見た東洋のイメージ―ルネサンスから二〇世紀まで" https://t.co/YCJvJUcBce ※本文リンクあり
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"CiNii 論文 - 一九六〇年代の大衆文化に見る「非合理」への欲望(2)「〈秘境〉ブーム」をめぐって" https://t.co/EwYYJ74cep
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 〈地獄〉表象の変容 : 「妖怪のいる地獄」像を巡って" https://t.co/vBbUZdx6ab
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 占いの機能に対する認知と占い依存傾向の関係" https://t.co/UxixUbKUda
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
"CiNii 論文 - 心身療法「岡田式静坐法」の身体美学に関する一考察 : 天地との調和・統一を表象する重心運動との身体的一致の観点から <査読論文>" https://t.co/fykabjsc7B ※本文リンクあり
— もりたねこ (@morita11) 2019年2月17日
「あやかし」系タイトルの変遷と展開 : あやかしものかくあれかし?
あやかしそはなにものぞ
「妖」と書いて「あやかし」と読む。
そして「あやかし」とは、「妖怪」と限りなく近い概念でありながら、単純にイコールで結ばれる存在ではないらしい。
しかもその使用されるフィールドはかなり限定されているという。
じゃあその「あやかし」ってなんなの?
あの海の妖怪とは違うの?
とかなんとか今回はそういう話です。
「あやかし」と読まれる/呼ばれるものが、最近一部で急速にジャンルを形成しつつある――というのは、特にマンガや小説の分野に関してしばしばいわれるところですけれども(どこでいわれているのだろうというと筆者の脳内の一角だったりするのですが)、でもだからといって怪異妖怪全般を指して「あやかし」と呼ぶことは、別に昨今の流行に限ったものというわけではなくてですね、というあたりのことはついつい問題がごっちゃになりがちなので留意しておきたいというか自戒したい――、と、そんな感じの問題意識を持っているのですよということを提示して、話を進めさせていただきたいと思います。
参考:
上のTogetterまとめの話がTwitter上であったのは今年2017年の夏のことですけれども、そもそものこの話題の発端として、横浜市歴史博物館の今夏の企画展「丹波コレクションの世界Ⅱ 歴史×妖×芳年 “最後の浮世絵師”が描いた江戸文化」(7/29~8/27)において、展覧会タイトルの中で「妖」に「あやかし」とルビが振られていたということが注目されたということがおそらくあったと思うのですが、しかし「あやかし」という語を用いて妖怪全般を指している展覧会自体は過去にもいくつかあったのです。
ざっと拾うだけでも、以下のものが見つかります。
▼「あやかし」をタイトルに含む展覧会一覧
- 新潟市美術館 森川ユキエ展 妖かしの無言劇場 1999/12/3-2000/1/16
- 山梨県立図書館 資料展示「妖怪万華鏡-あやかしの世界をのぞいてみませんか-」 2003/8/13-11/3
- 板橋区立美術館 江戸文化シリーズ19「妖と艶 -幕末の情念-」 2003/11/29-12/28
- 町立湯河原美術館 妖たちの饗宴~魑魅魍魎の世界~ 田澤茂展 2005/7/21-9/19
- 箕面市立郷土資料館 企画展示「「百器夜行」あやかしになった道具展」 2007/5/11-7/30
- 太田記念美術館 AYAKASHI 江戸の怪し-浮世絵の妖怪・幽霊・妖術使たち- 2007/8/1-8/26
- 福岡アジア美術館 7F企画ギャラリーA室 妖怪展「妖の園(あやかしのその)」 2010/4/29-5/5
- 大阪市立博物館 コレクション展「怪(あやかし)~お化けの世界~」 2010/8/3-9/5
- 桑名市博物館 絆と道の企画展「魂ゆらと妖かし」 2012/5/26-6/24
- 成蹊大学図書館 企画展示『アヤカシノ世界』 2014/11/17-11/28
- 千葉県立中央図書館 企画展示「妖怪発見伝~あやかしの世界へようこそ~」 2014/12/20-2015/2/15
※参考:"近年の妖怪系展覧会リスト(仮) - 猫は太陽の夢を見るか" http://d.hatena.ne.jp/morita11/20120919/1348065741
一覧を数えてみますと、「妖と書いてあやかしと読む語」を展覧会タイトルに冠している事例が過去すでに5例あったことが分かります。
ですからまあ、今夏の横浜市歴史博物館の用法がことさらに特異だとは言えない、と。
展覧会のタイトルに――それもどちらかと言えば趣味色の強い妖怪展のようなものに、あえて一般の人が読めない言葉を持ってくるというのも考えづらいですので、これはタイトルを設定した側が、これを見た大抵の人が「妖=あやかし」と読める、あるいはその解釈をすんなり受け入れられる、という考えを持っていたからこそ、このようになっているのだろうと思われます。そして実際、それで問題はない。
ですが、上記のTogetterまとめでも言及されていますように、「妖」の字で「あやかし」の読み方は、少なくとも現行の辞書には載っていない。
たとえば、手元にある『広辞苑 第六版』を見てみますと、
あやかし ①海上にあらわれる妖怪。あやかり。海幽霊。敷幽霊。謡、船弁慶「このお舟には―が憑いて候」②転じて、怪しいもの。妖怪変化。武家義理物語「物の―かやうの事ぞと皆人にあんどさせて」③あほう。馬鹿者〈日葡〉④コバンザメの異称。この魚が船底に粘着すると船が動かなくなり害をするという。⑤(「怪士」と書く)能面。妖気を表した男面。「鵺 ぬえ」の前ジテ、「船弁慶」の後ジテなどに用いる。また三日月・鷹などの同系の面の総称。
とあります。
「怪士」と書く、とはあっても、「妖」の字を当てるとは説明されていません。
また読みの問題と同時に「あやかし」の持つ意味のことについても少し考えてみますと、過去の辞書的説明の一例として、1937年刊行の『浮世草子名作集』(藤井乙男 著, 評釋江戸文學叢書 第2巻, 大日本雄辨會講談社)の「傾城禁短気」の注釈には、
貧乏神のあやかし あやかしは船幽霊の類をいひ、轉じて一般に亡霊・妖怪をいふ。こゝは乏神の精霊といふ程の意。(猶あやかしは事物の明ならざることをもいひ、又『日葡辞書』には阿房と間抜ともある)
とあります(739頁)。
広辞苑と『浮世草子名作集』の説明は、ほぼ変わっていないように見えます。
まあでもこれだけですと、「あやかし」という言葉が具体的にどういう使われ方をされてきたのか、いまひとつ分かりにくいかもしれません。
ちょっと手っ取り早く共通理解を得るために、過去の文学作品を参照してみたいと思います。
ここでは手近に「青空文庫」を検索して出てきた結果をいくつか引いてみます。
▼青空文庫に見る「あやかし」の用例(抄出)
それでも暗い空はいよいよ落ちかかって来て、なにかの怪異(あやかし)がこの屋形の棟の上に襲って来るかとも怪しまれた。
“岡本綺堂 玉藻の前” http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/480_39601.html
しかも眼に恨を宿し、何者をか呪ふがごとき、怨靈怪異(あやかし)なんどのたぐひ……。
“岡本綺堂 修禅寺物語” http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1312_23045.html
こう云いながら葉之助は、気の毒そうに苦笑したが、「ははあこれも妖怪(あやかし)の業だな。さてどこから手を付けたものか?」
“国枝史郎 八ヶ嶽の魔神” http://www.aozora.gr.jp/cards/000255/files/3041_32480.html
「あまり姫君がお美しいので妖怪(あやかし)が付いたのでござろうよ」
“国枝史郎 善悪両面鼠小僧” http://www.aozora.gr.jp/cards/000255/files/43771_19490.html
行きね妖怪(あやかし)、なれが身も人間道に異ならず、
”上田敏 上田敏訳 海潮音” http://www.aozora.gr.jp/cards/000235/files/2259_34474.html
余吾之介はその魍魎(あやかし)をかきのけるように、思わず二三歩引き退きました。
“野村胡堂 十字架観音” http://www.aozora.gr.jp/cards/001670/files/56105_56984.html
何やら魍魎(あやかし)が、自分の喉首を狙つて居るのを、夢心地に氣が付いたのです。
"野村胡堂 錢形平次捕物控 幻の民五郎” http://www.aozora.gr.jp/cards/001670/files/54628_53179.html
途端に、のしお頭巾の女の魔魅(あやかし)、すばやく姿を消している。
“吉川英治 鳴門秘帖 上方の巻” http://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/52403_50139.html
新九郎は魔魅(あやかし)の声でも聞くように、宙に眼を吊らしてしまった。
“吉川英治 剣難女難” http://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/56151_60109.html
雪のせ笹の金紋が、薄暗いその部屋の隅に、妖魅(あやかし)めいた光を放って――。
“吉川英治 鳴門秘帖 船路の巻” http://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/52406_50143.html
そん時だ、われの、顔は真蒼だ、そういう汝の面は黄色いぜ、と苫の間で、てんでんがいったあ。――あやかし火が通ったよ。
"泉鏡花 海異記" http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/1178_23555.html
珍しい事も、不思議な事もないけれど、その時のは、はい、嘉吉に取っては、あやかしが着きましたじゃ。
"泉鏡花 草迷宮" http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/3586_12103.html
実は、此は心すべき事だつた。……船につくあやかしは、魔の影も、鬼火も、燃ゆる燐も、可恐き星の光も、皆、ものの尖端へ来て掛るのが例だと言ふから。
"泉鏡花 光籃" http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/48404_35157.html
…元年申の七月八日、材木を積済まして、立火の小泊から帆を開いて、順風に沖へ走り出した時、一人、櫓から倒に落ちて死んだのがあつたんです、此があやかしの憑いたはじめなのよ。
"泉鏡花 印度更紗" http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/48387_35154.html
どうでしょうか。
残念ながら、「妖」と書いて「あやかし」と読ませている例は見られませんでしたが、それでもルビの振り方としてはけっこう自由に行われている感じがあります。
ここだけ見ても、やはり鏡花はかなり好んでこの言葉を使っている印象がありますね。
※※ 追記 2017/11/12 ※※ ↓ ↓ ↓
この記事の主目的はあくまで小説の書籍タイトルの変遷を見ることにあったということもあり、作品本文での用例についてはあまり細かく調べてはいなかったのですが、その後、「妖と書いてあやかしと読む」例をいくつか見つけましたので、以下に追記いたします。
地下の大盲谷、暗黒の二万マイル。その存在は非常に古いころから、想像されもし書かれてもいるが、もしこれが余人の口からでたのだったら、即座に一蹴されたにちがいない。いまは、セルカークも妖(あや)かしに会ったような顔。
“小栗虫太郎 人外魔境 地軸二万哩” http://www.aozora.gr.jp/cards/000125/files/4317_9673.html
あの眼の深い悩み、――声の柔かい魅惑、何も彼もが、一つの妖かしとなって、半十郎の魂を手繰り寄せるのでしょう。赤痣を拭き取った繁代の素顔が、今ではもう、「井上流砲術秘巻」より十倍も大きな魅力となって、グイグイと引寄せます。
“野村胡堂 江戸の火術” http://www.aozora.gr.jp/cards/001670/files/56091_57064.html
たぶん、探すともっとあると思います。
※※ 追記ココマデ ※※ ↑ ↑ ↑
しかし、過去の文学作品の分析はこの記事の目的ではないのです。
ここまではあくまで前提、前置きです。
ジャンルとしての「あやかし」
――で、そういう前提の部分をお話ししたところで冒頭に戻るのですが、上の展覧会の話とはまた別に、ここ数年のフィクションの領域、こと「ライト文芸」「キャラノベ」等の名前で呼称される小説レーベルの作品の中で、いわゆる「あやかし」を題材とした作品がジャンル化しつつある、でもこういうジャンル認識っていつごろから定着しだしたのかイマイチはっきりしないよね、という話があります。
たとえば、富士見L文庫では作品ラインナップのジャンルに「ファンタジー」「ミステリー」「青春/恋愛/お仕事」と並べて「オカルト/あやかし」を掲げています。明確なマーケティングとして「あやかし」をジャンルに持ってきているわけです。
そういったライト文芸の作品群の中では、「あやかし」とは いわば妖怪のことをいうのですが、それはしっかりとキャラクター化された存在として登場する傾向があるように思います。人間の登場人物たちと同等に会話し、生活し、ときに厄介な事件に巻き込まれる――おおよそそういった描かれ方をされているイメージがあります。
でも、いざ作品の中で「あやかし」という語がどのように使われているかというのは、作品によってバラつきがあり、「妖怪」や「幽霊」「怪異」「怪談」等の言葉と比べると客観的な了解があるようにも思われない。だけど、ジャンルとして見ると意味はなんとなく通じる――それってなんでなのか。
また「あやかしもの」ジャンルの形成自体が現在進行中の事象ということもあり、結論がこうだと言い切ってしまうには、まだ時期尚早という感じもします。
「あやかしもの」なるジャンルはいったいどういった具合に成り立っているのか。
調べる方法としてはそれこそ、ひとつひとつの作品を悉皆的に読み込んでいけばまた見えてくるものもあるのかもしれないのですが、個人でジャンルを網羅し分析するにはなかなか力が及ばない。
そこで、インターネット検索で出てくる範囲の情報をいまいちど整理してみようというのが、今回の記事になります。
ようやく本題に入れました。
以下は、タイトルに「あやかし」を含む小説の一覧です。
一覧の作成には国立国会図書館サーチを使用しました。
並びは年順。
タイトルの列記と分析が目的になりますので、シリーズものは省略して載せています。
▼タイトルに「あやかし」を含む小説一覧
- あやかしの夜 エロチック・ファンタジイ
岡田鯱彦 著 あまとりあ社 1958 - あやかし砂絵 なめくじ長屋捕物さわぎ
都筑道夫 著 桃源社 1976 - 妖かし
矢代静一 著 河出書房新社 1978 - あやかし
山田正紀 著 集英社 1981 - 妖かし蔵殺人事件
皆川博子 著 中央公論社 1986 C novels - 妖樹・あやかしのき : 長篇印度怪鬼譚
夢枕獏 著 徳間書店 1987 Tokuma novels - あやかし通信 九夜でおくる怖い話
大迫純一 著 実業之日本社 1991 - 妖かしの館 美族
ひかわ玲子 著 光文社 1993 光文社文庫 - あやかしの笛
黒崎薫 著 桜桃書房 1994 Eclipse romance - 鏡花あやかし秘帖 シリーズ
嶋田純子 / 橘みれい 著 小学館→まんだらけ出版→学研 1996~ 小学館キャンバス文庫 → ライブノベルス → もえぎ文庫 → もえぎDX - あやかしの声
阿刀田高 著 新潮社 1996 - 妖かしの紅い華 新・霊感探偵倶楽部
新田一実 著 講談社 1996 講談社X文庫 White heart - 天魔跳梁 天狗妖草子1
斉城昌美 著 中央公論社 1997 C novels fantasia. - 平成妖かし物語
岳真也 著 KSS出版 1998 - あやかしの幽魔 神霊女学院
立花薫 著 講談社 1998 講談社X文庫 Teen's heart - 妖かしの宴 シリーズ 全3巻
水木しげる, 新津きよみ, 菊地秀行,今野敏[ほか] PHP研究所 1999~2001 PHP文庫 - 妖し陽炎の剣 介錯人・野晒唐十郎 長編時代小説
鳥羽亮 著 祥伝社 1999 祥伝社文庫 ノン・ポシェット - 怪かしの鬼談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ3
岡本綺堂 著 原書房 1999 - あやかし
高橋克彦 著 双葉社 2000 - 妖し小町 シリーズ 全5巻
六道慧 著 光文社 2000~2002 光文社文庫 - 小説王都妖奇譚 シリーズ 全2巻
新生璃人 著, 岩崎陽子 原作 秋田書店 2001~2002 秋田文庫ノベルズ - あやかし法廷
和久峻三 著 勁文社 2001 ケイブンシャ文庫 - あやかしの宴 徳間文庫 問題小説傑作選 8 女流官能篇
徳間文庫編集部 編 徳間書店 2001 - ヴァージン・ブラッディ 妖しの女教師
霜越かほる 著 集英社 2001 集英社スーパーダッシュ文庫 - 江戸妖かし草子
海野弘 著 河出書房新社 2002 - 常世桜 地神盲僧、妖ヲ謡フ
加門七海 著 マガジンハウス 2002 - 晴明ふしぎ草子 妖しの子、黄昏に目覚める
足立和葉 著 小学館 2002 パレット文庫 - あやかし通信『怪』
大迫純一 著 角川春樹事務所 2002 ハルキ・ホラー文庫 - あやかし♡草紙 シリーズ 全3巻
嶋田まな海 著 白泉社 2003~2004 白泉社花丸文庫 - あやかし修学旅行 鵺のなく夜 名探偵夢水清志郎事件ノート
はやみねかおる 作, 村田四郎 絵 講談社 2003 講談社青い鳥文庫 - ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華
誉田哲也 著 学習研究社 2003 ウルフ・ノベルス - 双霊刀あやかし奇譚 全2巻
甲斐透 著 新書館 2003~2004 新書館ウィングス文庫 Wings novel - 江戸あやかし舟 書き下ろし長編伝奇時代小説
竹河聖 著 双葉社 2004 双葉文庫 - 妖かし斬り 四十郎化け物始末
風野真知雄 著 ベストセラーズ 2005 ベスト時代文庫 - あやかし捜査官ランクラー
庄田雄二 著 新風舎 2005 - あやかしの道標
根本和周 著 文芸社 2005 - 妖かしの庚辰
倉橋紀 著 文芸社 2005 - あやかし肌 長編官能小説
睦月影郎 著 竹書房 2006 竹書房ラブロマン文庫 - あやかし同心 シリーズ 全2巻
加納一朗 著 ワンツーマガジン社 2006~2008 ワンツー時代小説文庫 - あやかし絵巻 長編時代官能小説
睦月影郎 著 祥伝社 2007 祥伝社文庫 - 放課後あやかし姫 全2巻
足塚鰯 著 集英社 2007 コバルト文庫 - 妖かしの蜘蛛 郷四郎無言殺剣
鈴木英治 著 中央公論新社 2007 中公文庫 - 大江戸あやかし草子 全2巻
松岡弘一 著 出版芸術社 2007 - あやかし学園 狐の章
三刀屋嵩 著 徳間書店 2007 Tokuma novels. Edge - 妖姫 藤花奇譚
千葉真由美 著 文芸社 2007 - 鬼姫おぼろ草紙 全4巻(あやかし秘剣, あやかし淫香, あやかし天女, あやかし淫鬼)
睦月影郎 著 コスミック出版 2008 コスミック・時代文庫 - 妖し殺めし幻ノ女 シャドウ・リンカーズ
霧咲遼樹 著, なばほ イラスト 徳間書店 2008 TOKUMA NOVELS - あやかしの鏡 シリーズ 全6巻
香谷美季 作, 友風子 絵 講談社 2008~2011 講談社青い鳥文庫 - 大江戸RPGアヤカシ ログインテーブルトークRPGシリーズ
鈴木銀一郎 原案, 小林正親 作 エンターブレイン 2008 - 浪人左門あやかし指南 全4巻
輪渡颯介 著 講談社 2008~2010 - りん姫あやかし草紙
澤田徳子 作, 新野めぐみ 絵 教育画劇 2008 - 鬼ケ辻にあやかしあり シリーズ 全3巻
廣嶋玲子 作, 二星天 絵 ポプラ社 2008~2009 ポプラポケット文庫 - あやかし探偵団事件ファイル シリーズ 全3巻
藤ダリオ 作, Nino イラスト くもん出版 2009 - アヤカシ森からSOS! あかね・新読み物シリーズ 26
白金ゆみこ 作, 狩野富貴子 絵 あかね書房 2009 - 佐和山物語 あやかし屋敷で婚礼を
九月文 著 角川書店 2009 角川ビーンズ文庫 - あやかしがたり 全4巻
渡航 著 小学館 2009~2010 ガガガ文庫 - あやかし草紙 シリーズ 全3巻
竹河聖 著 角川春樹事務所 2009~2010 ハルキ文庫 時代小説文庫 - あやかし枕 江戸偏愛奇譚
文月芯 著 ミリオン出版 2009 大洋時代文庫 - イタコ千歳のあやかし事件帖 全2巻
堀川アサコ 著 新潮社 2009~2010 - アヤカシノ交渉人
番棚葵 著 朝日新聞出版 2010 朝日ノベルズ - カラクリ荘の異人たち 4 春来るあやかし
霜島ケイ 著 ソフトバンククリエイティブ 2010 GA文庫 - アヤカシ薬局閉店セール
伊藤充子 作, いづのかじ 絵 偕成社 2010 偕成社おはなしポケット - 妖、レンタルします。
日生水貴 著 白泉社 2010 白泉社花丸文庫 - 妖かし恋奇譚 黒龍と堕天使
水戸泉 著 プランタン出版 2010 ティアラ文庫 - あやかし草子 みやこのおはなし
千早茜 著 徳間書店 2011 - 妖かし斬り 四十郎化け物始末 1
風野真知雄 著 角川書店 2011 角川文庫 - あやかし裁き ご隠居同心探索異聞 書下ろし長編時代小説
楠木誠一郎 著 コスミック出版 2011 コスミック・時代文庫 - あやかし江戸物語 全6巻
伊藤たつき 著 角川書店 2011~2012 角川ビーンズ文庫 - あやかしマニアックス! 全5巻
夏希のたね 著 ソフトバンククリエイティブ 2011~2013 GA文庫 - あやかし草子 現代変化物語
那須正幹 作, タカタカヲリ 絵 日本標準 2011 シリーズ本のチカラ - 姫君の妖(あやかし)事件簿 : 裏検非違使庁物語 全4巻
長尾彩子 著 集英社 2011~2012 コバルト文庫 - お江戸あやかし物語 全3巻
水沢いおり 作, 石橋富士子 絵 偕成社 2011~2016 - 雷獣びりびり 大江戸あやかし犯科帳 全3巻
高橋由太 著 徳間書店 2011 徳間文庫 - 写楽あやかし草紙 全2巻
希多美咲 著 集英社 2012 コバルト文庫 - 萬屋あやかし事件帖 シリーズ 全3巻
天堂里砂 著 中央公論新社 2012 C・novels fantasia - 百鬼夜行に花吹雪 夢幻組あやかし始末帖 全3巻
朝松健 著 ベストセラーズ 2012 ベスト時代文庫 - あやかし恋綺譚 あなたをサイヨウ!の巻
佐々木禎子 著 エンターブレイン 2012 B's-LOG文庫 - あやかし緋扇 小説オリジナルストーリー 全3巻
宇津田晴 著,くまがい杏子 原作・イラスト 小学館 2012~2014 FCルルルnovels - 妖かし始末 夜逃げ若殿捕物噺 4
聖龍人 著 二見書房 2012 二見時代小説文庫 - 新月の夢 愛宕山あやかし伝
池端洋介 著 学研パブリッシング 2013 学研M文庫 - 良薬は口に苦し。けれどもあやかし、恋に落ちて。
一恋ちえ 著 新紀元社 2013 Neosbooks Blossomside - あやかし三國志、たたん 唐傘小風の幽霊事件帖
高橋由太 著 幻冬舎 2013 幻冬舎時代小説文庫 - ぼっこれ 大江戸妖かし草紙
岳真也 著 廣済堂出版 2013 廣済堂文庫 モノノケ文庫 - うさぎ姫の薬箱 で、出た~!あやかしだらけのおそろし薬房
長尾彩子 著 集英社 2013 コバルト文庫 - 死美女の誘惑 蓮飯店あやかし事件簿
丸山天寿 著 講談社 2013 講談社ノベルス - 路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店 全3巻
行田尚希 著 アスキー・メディアワークス 2013~2014 メディアワークス文庫 - 小説版 あやかし緋扇 全2巻
宮沢みゆき 著, くまがい杏子 原作・イラスト 小学館 2013 小学館ジュニア文庫 - あやかしちぇんじ! 全2巻
栗栖ティナ 著 オーバーラップ 2013~2014 オーバーラップ文庫 - 明治・妖(あやかし)モダン
畠中恵 著 朝日新聞出版 2013 - あやかしの花 けんか茶屋お蓮
高橋義夫 著 中央公論新社 2013 中公文庫 - あやかし三國志、ぴゅるり 唐傘小風の幽霊事件帖
高橋由太 著 幻冬舎 2013 幻冬舎時代小説文庫 - のっぺら あやかし同心捕物控
霜島ケイ 著 廣済堂出版 2014 廣済堂文庫 モノノケ文庫 - 付添い屋・六平太 書き下ろし長編時代小説 2 虎の巻 あやかし娘
金子成人 著 小学館 2014 小学館文庫 - 妖ノ宴
丸木文華 著 KADOKAWA 2014 角川ルビー文庫 - あやかし姫陰陽師 全3巻
せひらあやみ 著 集英社 2014~2015 コバルト文庫 - 猫乃木さんのあやかし事情 全2巻
望月もらん 著 KADOKAWA 2014~2015 角川ビーンズ文庫 - あかやあかしやあやかしの 影喰い街の神隠し
華南みさき 著, HaccaWorks* 原作 朝日新聞出版 2014 - 安倍晴明あやかし鬼譚
六道慧 著 徳間書店 2014 徳間文庫 - あやかし和メイド
わかつきひかる 著 フランス書院 2014 美少女文庫 - あやかしの里で 長編小説
睦月影郎 著 竹書房 2014 竹書房文庫 - 陰陽師はクリスチャン!? あやかし退治いたします!
夕貴そら 作, 暁かおり 絵 ポプラ社 2014 ポプラポケット文庫 - あやかし飴屋の神隠し
紅玉いづき 著 KADOKAWA 2014 メディアワークス文庫 - アヤカシさん
富安陽子 作, 野見山響子 画 福音館書店 2014 福音館創作童話シリーズ - あやかしの小瓶
松尾清貴 著 小学館 2014 小学館文庫 - 三十郎あやかし破り 全3巻
飯島一次 著 双葉社 2014 双葉文庫 - あやかし秘帖千槍組 全2巻
友野詳 著 廣済堂出版 2014 廣済堂文庫 モノノケ文庫 - 花嫁さまとあやかしの秘めごと 狢爛漫恋吹雪
珠城みう 著 小学館 2014 小学館ルルル文庫 - 山城柚希の妖かし事件簿 全3巻
青谷真未 著 ポプラ社 2014~2015 ポプラ文庫ピュアフル - 遠鳴堂あやかし事件帖 全3巻
椎名蓮月 著 KADOKAWA 2014~2015 富士見L文庫 - 怪(あやかし)ほどき屋 全3巻
南澤径 著 KADOKAWA 2014~2015 角川ホラー文庫 - 「かくりよの宿飯」あやかしお宿 シリーズ 既刊7巻
友麻碧 著 KADOKAWA 2015~ 富士見L文庫 - ゆかし妖し
堀川アサコ 著 新潮社 2015 新潮文庫 nex - あやかしリストランテ 奇妙な客人のためのアラカルト
王谷晶 著 集英社 2015 集英社オレンジ文庫 - 桜守兄弟封印ノート あやかし筋の双子
赤城毅 著 集英社 2015 集英社オレンジ文庫 - あやかし露天商ティキタカ 全2巻
井上樹 著 SBクリエイティブ 2015~2016 GA文庫 - おっかなの晩 船宿若狭屋あやかし話
折口真喜子 著 東京創元社 2015 - あやかし帝の恋絵巻 異世界行ったら二分で寵姫!?
めぐみ和季 著 一迅社 2015 一迅社文庫アイリス - あやかし小町 大江戸怪異事件帳 全4巻
鳴海丈 著 廣済堂出版 2015~2017 廣済堂文庫 特選時代小説 - 神木町あやかし通り天狗工務店
高橋由太 著 幻冬舎 2015 幻冬舎文庫 - あやか師夢介元禄夜話
小沢章友 著 白泉社 2015 白泉社招き猫文庫 - 東亰ですとぴあ 終わらぬ昭和のあやかし奇譚 全2巻
くしまちみなと 著 一二三書房 2015 桜ノ杜ぶんこ - サッカク探偵団 あやかし月夜の宝石どろぼう
藤江じゅん 作, ヨシタケシンスケ 絵 KADOKAWA 2015 - 南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地
仲町六絵 著 KADOKAWA 2015 メディアワークス文庫 - 鬼憑き姫あやかし奇譚 なまいき陰陽師と紅桜の怪
楠瀬蘭 著 講談社 2015 講談社X文庫 white heart - 九十九さん家のあやかし事情 既刊5巻
椎名蓮月 著 KADOKAWA 2015~2016 富士見L文庫 - 千早あやかし派遣會社 既刊2巻
長尾彩子 著 集英社 2015~2016 集英社オレンジ文庫 - 彩菊あやかし算法帖 既刊2巻
青柳碧人 著 実業之日本社 2015~2017 - あやかし屋台なごみ亭 既刊3巻
篠宮あすか 著 双葉社 2016~ 双葉文庫 - あやかし兄弟と桜の事件簿
妃川螢 著 KADOKAWA 2016 富士見L文庫 - あやかし肌 長編小説
睦月影郎 著 竹書房 2016 竹書房文庫 - あやかし飛燕 文庫書下ろし 長編時代小説 隠目付江戸秘帳
鳥羽亮 著 光文社 2016 光文社文庫 - 妖たちの四季 妖怪の子預かります 3
廣嶋玲子 著 東京創元社 2016 創元推理文庫 - 繰り巫女(ひめ)あやかし夜噺 お憑かれさんです、ごくろうさま
日向夏 著 マイナビ出版 2016 ファン文庫 - あやかし百物語
伊計翼 著 竹書房 2016 竹書房文庫 - 鎌倉不動産のあやかし物件
安東あや 著 KADOKAWA 2016 メディアワークス文庫 - 上倉家のあやかし同居人 見習い鍵守と、ふしぎの蔵のつくも神 既刊2巻
梅谷百 著 KADOKAWA 2016~2017 メディアワークス文庫 - あやかし双子のお医者さん 既刊4巻
椎名蓮月 著 KADOKAWA 2016 富士見L文庫 - あやかし恋古書店 僕はきみに何度でもめぐり逢う
蒼井紬希 著 TOブックス 2016 TO文庫 - あやかしとおばんざい ふたごの京都妖怪ごはん日記 既刊2巻
仲町六絵 著 KADOKAWA 2016~ メディアワークス文庫 - 出雲のあやかしホテルに就職します 既刊3巻
硝子町玻璃 著 双葉社 2016~2017 双葉文庫 - 今日から、あやかし町長です。 既刊2巻
糸森環 著 KADOKAWA 2016~2017 富士見L文庫 - 浅草鬼嫁日記 シリーズ 既刊3巻
友麻碧 著 KADOKAWA 2016~ 富士見L文庫 - あやかし万華鏡 佐香と奇妙なお客たち
花川戸菖蒲 著 KADOKAWA 2016 富士見L文庫 - 妖かしの娘 隠居右善江戸を走る 2
喜安幸夫 著 二見書房 2017 二見時代小説文庫 - 明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 既刊2巻
さとみ桜 著 KADOKAWA 2017 メディアワークス文庫 - 最近はあやかしだって高校に行くんです。 普通ですが何か?
流星香 著 KADOKAWA 2017 ビーズログ文庫アリス - 寺嫁さんのおもてなし 和カフェであやかし癒やします
華藤えれな 著 KADOKAWA 2017 富士見L文庫 - アヤカシ絵師の奇妙な日常
相原罫 著 KADOKAWA 2017 メディアワークス文庫 - 鳩子さんとあやかし暮らし
野梨原花南 著 KADOKAWA 2017 富士見L文庫 - まぼろしメゾンの大家さん あやかし新生活、始めました。
宮田光 著 KADOKAWA 2017 富士見L文庫 - 妖狐に嫁入り 平安あやかし奇譚
秋山みち花 著 KADOKAWA 2017 角川ルビー文庫 - あやかし艶譚
辻内弥里 著 フロンティアワークス 2017 DARIA BUNKO - 嫁にこい あやかし癒し
真崎ひかる 著 二見書房 2017 CHARADE BUNKO - あやかし会社の社長にされそう。
水沢あきと 著 KADOKAWA 2017 メディアワークス文庫 - あやかし寝具店 あなたの夢解き、致します
空高志 著 三交社 2017 スカイハイ文庫 - スープ屋かまくら来客簿 あやかしに効く春野菜の夕焼け色スープ
和泉桂 著 KADOKAWA 2017 富士見L文庫 - 京都あやかし絵師の癒し帖
八谷紬 著 スターツ出版 2017 スターツ出版文庫 - あやかし姫は愛されたい 1
岸根紅華 著 オーバーラップ 2017 オーバーラップ文庫 - あやかし <妖怪>時代小説傑作選
宮部みゆき, 畠中恵 ,木内昇, 小松エメ, 霜島ケイ, 折口真喜子 著 / 細谷正充 編集 PHP研究所 2017 PHP文芸文庫 - 奈良町万葉あやかし茶房
遠藤遼 著 双葉社 2017 - お点前頂戴いたします 泡沫亭あやかし茶の湯
神田夏生 著 KADOKAWA 2017 メディアワークス文庫
以上、162タイトルです。
勢いで書いていますので、多少のぶれや雑さはあると思いますが、まあおおよその数の確認ということでご容赦を。
こうして列記してみますと、かつては時代小説と女性向けライトノベル、児童書が地道に名前を連ねていたのが、2010年代後半に入って一挙にライト文芸がそのほとんどを占めるようになっているのが見て取れるかと思います。
また、ライト文芸、ライトノベルを語るうえで無視できないのがマンガの影響です。
その是非云々については今回はとりあえずおいておきまして、「あやかし」をタイトルに含むコミックスの一覧も抽出してみました。
こちらも小説と同様に主に国立国会図書館サーチで検索をかけ、適宜情報を整理したものです。
小説ほどに数はありませんが、同じく年順に並べています。
▼タイトルに「あやかし」を含むマンガ一覧
- 恋し夢見しあやかしギツネ
西尚美 著 講談社 1979 講談社コミックスフレンド - あやかしの伝説
わたなべまさこ 著 壱番館書房 1982 - あやかしの館 山岸凉子傑作集 1
山岸凉子 著 小学館 1983 フラワーコミックスPS版 - あやかしハンター 全3巻
春日光広 著 集英社 1988~1989 ヤングジャンプ・コミックス・スペシャル - 王都妖奇譚 全12巻
岩崎陽子 著 秋田書店 1991~2002 プリンセス・コミックス - 皇牙&竜牙2 妖の刻
中村地里 著 秋田書店 1996 プリンセス・コミックス - 平成妖物始末人 全4巻
島津和樹 著 冬水社 1997 いち好き・コミックス - あやかしの樹 わたなべまさこ名作集
わたなべまさこ 著, 阿刀田高 原作 ホーム社 1999 - ふしぎ奇かし耳袋 犬木加奈子総プロデュース
犬木加奈子 監修 ケイエスエス 1999 KSS comic - 寄り神の浜 凍牙と木綿の妖紀行
服部あゆみ 著 秋田書店 1999 HORROR COMICS SPECIAL - 妖姫くれない 全2巻
竹内未来 著, 吉村元希 原作 角川書店 1999 あすかコミックス - あやかし歌姫かるた 全2巻
片山愁 漫画,工藤治 原作 角川書店 1999~2000 角川コミックス・エース - 妖 (あやかし) の寄る家 宇河弘樹・短篇集
宇河弘樹 著 少年画報社 2000 YKコミックス - 現世妖見聞録
春日まりおん 著 冬水社 2001 いち好き・コミックス - あやかし天馬 全4巻
柴田亜美 著 集英社 2002~2003 ジャンプ・コミックス - 九十九眠るしずめ 明治あやかし討伐伝 全3巻
高田裕三 著 講談社 2004~2006 ヤンマガKCDX - あやかし堂のホウライ 全3巻
金田達也 著 小学館 2005~2006 少年サンデーコミックス - 幕末平成kid 新撰組妖奇譚
楠桂 著 小学館 2005 てんとう虫コミックススペシャル - 妖かしの密林 高階良子ホラー・ワールド 2
高階良子 著 朝日ソノラマ 2005 ソノラマコミック文庫. - あやかし天然ビーンズ
みなみ佐智 著 白泉社 2007 花とゆめコミックス - 九十九眠るしずめ 明治あやかし討伐伝 明治17年編 全4巻
高田裕三 著 講談社 2007~2009 ヤンマガKCDX - 天保異聞妖奇士 全2巻
會川昇, Bones 原作, 蜷川ヤエコ 漫画 スクウェア・エニックス 2007 ヤングガンガンコミックス - アヤカシ 全2巻
Crossnet/Apricot/「Ayakashi」製作委員会 原作, 金子ツトム 脚本, かのえゆうし 漫画 講談社 2008 マガジンZ KC - 妖かし恋奇譚
かまたきみこ 著 ぶんか社 2009 Bunkasha comics - あやかし恋絵巻 全6巻
新條まゆ 著 集英社 2009~2013 マーガレットコミックス - あやかし男子 ふしぎ幻想アンソロジー
エンターブレイン 2009 ビーズログコミックス - あやかし怪盗
水都あくあ 著 小学館 2010 ちゃおコミックス - 妖の華
北辰堂出版 2010 ほくこみ同人アンソロジー - アヤカシ古譚 1
臣士れい 著 アイプロダクション 2010 ボーイズduoセレクション - あやかし絵巻 百鬼妖怪コミックアンソロジー
晞月杳, 渡辺惣嘉 他共著 ピクト・プレス 2010 ピクト・コミックス - ぬらりひょんの孫キャラクター公式データブック妖(あやかし)秘録
椎橋寛 著 集英社 2010 ジャンプ・コミックス - 哀しき妖の恋
ヒナチなお, 天之ひるめ, 仁, きだち, Ishiko, B型 著 講談社 2010 講談社コミックスB - 石影妖漫画譚 全11巻
河合孝典 著 集英社 2010~2013 ヤングジャンプ・コミックス - あやかし絵巻 昼想夜夢 百鬼妖怪コミックアンソロジー
猫田小次郎 他共著 ピクト・プレス 2010 ピクト・コミックス - お嬢様のあやかし遊戯
梨月詩 著 小学館 2010 フラワーコミックス - あやかし緋扇 全12巻
くまがい杏子 著 小学館 2011~2014 フラワーコミックス - あやかしコンビニエンス 全3巻
ヒライユキオ 著 ホビージャパン 2012~2013 Dangan comics - あかやあかしやあやかしの 全10巻
七生 著, Hacca Works* 原作 KADOKAWA 2012~2017 MFコミックス ジーンシリーズ - あやかし古書庫と少女の魅宝 (タカラ) 全2巻
ドリヤス工場 著 一迅社 2012~2013 Rex comics - 百千さん家のあやかし王子 既刊12巻
硝音あや 著 KADOKAWA 2013~ あすかコミックスDX - 鎌倉ものがたり スペシャルセレクション あやかし萌える ゆく春の事件簿
西岸良平 著 双葉社 2013 Action comics. Coinsアクションオリジナル - 妖絵巻 ぬらりひょんの孫イラスト集
椎橋寛 著 集英社 2013 愛蔵版コミックス - 雷獣びりびり 大江戸あやかし犯科帳 全6巻
高橋由太 原作, 亜沙美 漫画 徳間書店 2013~2015 Ryu comics - うわさの怪談妖(アヤカシ)
魔夜妖一, 幻咲麗, マーク・矢崎治信 監修 成美堂出版 2013 - 鬼眼謎払いあやかしの恋
吉國よし 著 宝島社 2013 Konomanga ga Sugoi! COMICS - あやかし緋扇公式ファンブック 全2巻
くまがい杏子 著 小学館 2013~2014 Sho-Comiフラワーコミックススペシャル - 異次元童話 宇宙皇子(うつのみこ) 地上編3 妖かしの道地獄道
藤川桂介 著 出版ワークス 2014 - まんがグリム童話 妖八犬伝 全3巻
魔木子 著 ぶんか社 2014 - おさきもち 大江戸妖奇譚 全4巻
瀬上あきら 著 竹書房 2014~2015 Bamboo comics - 妖 (あやかし) もののけ事件簿
山本まゆり, まつざきあけみ, 中西ゆか, 榎本由美, 一綺サチア, 彩奈チカ, 三原千恵利 著 実業之日本社 2014 マンサンコミックス - あやかし和菓子屋本舗 全2巻
モリノ 著 KADOKAWA 2015 ビーズログコミックス - あやかしぃのに 全2巻
乃花タツ 著 KADOKAWA 2015 電撃コミックスNEXT - 陰陽師安倍晴明異聞 妖かし恋うた
真崎春望 著 ぶんか社 2015 Bunkasha comics - 妖 (あやかし) 呪いの事件簿
山本まゆり, 三原千恵利, 北川怜子, 瀬口恵子, 黒川晋, 紫垣まゆみ, かずはしとも 著 実業之日本社 2015 マンサンコミックス - 怪談少年 妖の巻
高橋葉介 著 ぶんか社 2015 BUNKASHA COMICS - アヤカシ遣いの嫁さがし
五城タイガ 著 リブレ 2016 ビーボーイコミックスデラックス - あやかしお宿に嫁入りします。 かくりよの宿飯 既刊3巻
衣丘わこ 著, 友麻碧 原作, Laruha キャラクター原案 KADOKAWA 2016~ ビーズログコミックス - あやかしこ 既刊3巻
ヒジキ 著 KADOKAWA 2016~ MFコミックス. アライブシリーズ - 妖の華 全2巻
落合裕介 作画, 誉田哲也 原作 少年画報社 2016 YKコミックス - 妖 (あやかし) 王の花嫁 既刊5巻
柿崎椋 著 冬水社 2016~ いち*ラキ・コミックス - 妖 (あやかし) 怨みの事件簿
山本まゆり, 瀬口恵子, 大竹とも, 中西ゆか, 七色虹子, 黒川晋, 米谷たかね, 白井幸子, 三原千恵利 著 実業之日本社 2016 マンサンコミックス - 鳩子のあやかし郵便屋さん。 既刊1巻
雪子 著 竹書房 2017 Bamboo comics - 美味しい妖 (あやかし) 既刊1巻
おとうさん 著 スクウェア・エニックス 2017 ガンガンコミックスonline - 鬼与力あやかし控
白川晶 原作, フカキショウコ 作画 朝日新聞出版 2017 ASAHIコミックス - 怪ほどき屋 既刊1巻
ときわ銀 著, 南澤径 原作, vient キャラクター原案 KADOKAWA 2017 ビーズログコミックス - あやかし結婚相談所 既刊1巻
宮尾にゅん 著 KADOKAWA 2017 ビーズログコミックス - あやかしパレードゲーム = AYAKASHI PARADE GAME 既刊2巻
霜月かいり 著 KADOKAWA 2017 MFコミックス ジーンシリーズ - 妖 (あやかし) 異界の事件簿
山本まゆり, 瀬口恵子, 榎本由美, 紫垣まゆみ, 日下部拓海, 松原千波, かずはしとも, 阿部ゆたか, 三原千恵利, 井口かのん 著, 説話社 編 実業之日本社 2017 マンサンコミックス - 妖 (あやかし) 凍える恐怖特集
瀬口恵子, 紫垣まゆみ, 三原千恵利, 白井幸子, 日下部拓海, かずはしとも, 山本まゆり 著 実業之日本社 2017 マンサンコミックス
以上、69タイトルになります。
あまり確かなことは言えませんが、少女マンガのタイトルにおいて好んで採用されている印象があります。
もちろん、上に挙げている作品は、あくまでタイトルに「あやかし」を含んでいるものであり、実際に「あやかしもの」とされる作品はもっともっとありますし、タイトルに「あやかし」の語を使用していても、内容がいわゆる「あやかしもの」には当てはまらない作品というのもまた上記のリストにはたくさん並んでいるかと思います。
ですが、今なんとなく成立している「あやかしもの」というジャンルを考えるうえで、そのジャンルが成立するまでに人々が「あやかし」という語にどのようなイメージを抱き、創作に適用してきたかということはささやかながら窺い知ることができるのではないかと思い、この記事を書いている次第です。
ジャンルが成立するにはその前史があるはずだと、そういう話だと解釈していただければと思います。
さて、先ごろ発売された『怪』vol.0051(2017)、特集「アニメと妖怪」の誌面において、「なぜ妖怪は小説、アニメでウケるのか――編集者覆面座談会」という座談会記事が掲載されていました。
その記事によれば、「妖怪」と区別される「妖かし」、キャラクター化された「妖かし」が人気を博すようになったのには、『しゃばけ』と『夏目友人帳』のヒットの影響が大きかっただろうと言及されています。
『しゃばけ』の最初の単行本が発売されたのが2001年。
『夏目友人帳』のコミックス第1巻が発売されたのが2005年。
そこにライト文芸が出てきたことで、一気にジャンルとしての「あやかしもの」が形成されていったと、そういった旨のことが誌面では語られています。
おおよそその通りなのだろうと思います。
また、そこに至るまでには、この記事で述べてきた展覧会や、鏡花を始めとした過去の文学作品や時代小説等が背景としてあったことでしょう。
そうしてこれまで妖怪ジャンルに携わってきた多くの読者や創作者の、こうあってほしい、こうなればいい、こんな感じがいいのじゃないかという積み重ねや切磋琢磨諸々があって、今の「あやかし」イメージも出来上がってきたのだろうと愚考します。
小説やマンガの話の他に、ゲームや舞台や音楽等の近接ジャンルの事情を加味していくことで、今後よりいっそう理解が進んでいくのではないか――と、そのようなことを期待しつつ、今回はここらで締めさせていただこうかと。
だいぶ長くなってしまったわりに大したことを言っていないようにも思いますが……。
それでは。
補足:
最近観た映画 : 『マジカル・ガール』
『マジカル・ガール』
5月8日に観た。
この映画の印象を一言で言い表せば、不穏。それに尽きるだろう。
Googleの画像検索で「magical girl 」と入力すると、検索結果には『魔法少女まどか☆マギカ』とか『美少女戦士セーラームーン』とか『アイドル魔法少女ちるちる みちる』とか『魔法 中年 おじまじょ5』とかが上位に出てきて、その結果はどの言語環境設定においてもたいして変わらないのだが、こうして見ると少なくともネット上ではmagical girl=魔法少女のイメージは日本のポップカルチャーのそれと直結しているらしいということが感じ取れる。
そういった日本的なポップでカワイイ「魔法少女」イメージとはおよそかけ離れたところにあるのが映画『マジカル・ガール』である。
ここで最近のスペイン映画作品と比べながら感想を書いたりするとカッコイイのだろうが、あいにくそちらの知識は持ち合わせていない。なので、自分にとって身近な日本のアニメとの関連で書いてみる。
カルロス・ベルムト監督は、『マジカル・ガール』における日本の作品からの影響について、『魔法少女まどか☆マギカ』のダークな部分にも影響を受けているとインタビューで述べている*1。
『まどマギ』の作中では、キュウべえが「魔法少女」の設定について「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?」「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」と言及する台詞があった(アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』第8話「あたしって、ほんとバカ」より)。
『マジカル・ガール』では、白血病の少女アリシアは、魔法少女のようにいろんな姿に変身したい、魔法少女ユキコのコスチュームが欲しい、そして13歳になりたいという願いを持っている。しかし余命幾許もない彼女にとってそれらはどれも難しい願いである。
アリシアの父親ルイスは娘の願いをなるべく叶えてやりたいが、多額の資金を工面出来ずに苦悩し、結果偶然出会ったバルバラを脅迫する。
現在は精神科医の夫に養われているバルバラは、ルイスから大金を要求されると裏社会とのつながりを利用した自己犠牲によってそれを解決しようとする。
映画の冒頭では少女時代のバルバラがマジック(手品)で教師を挑発するシーンが映し出される。元教師ダミアンはバルバラとの関係から刑務所で10年間の服役をしており、そして出所した今も彼女のことを恐れているが、彼らの間に過去いったい何があったのか映画の中で具体的に明かされることはない。
キュウべえの台詞と照らし合わせるならば、「魔法少女」に当たるのはアリシア、「魔女」に当たるのはバルバラと言えるだろうか?
「魔法少女」は己の願いを自らの力では叶えることは出来ない。願いを叶えた「魔女」は結果的に破滅をもたらす。
「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」
やがて魔女になる。この言葉がこんなにも不穏に響く作品もなかなかないだろうと思う。
型にはまらない物語は奇をてらったふうにも受け取れるが、海外で日本文化がこのようなかたちで受容されているというだけでも興味深い。
それら奇抜な要素を抜きにしても、ワンシーンワンシーンの緻密に計算された画面の美しさは視覚的に十分な満足感を与えてくれる。
アニメ『CLANNAD』を見た話
雑文。
アニメ『CLANNAD』『CLANNAD~AFTER STORY~』を見たのは昨年の秋ごろであった。
さんざん語られたこの作品に関して今更感のある視聴だったが、それをこのタイミングで記事にするのもかなり今更感がある。
しかし実際に全話通して視聴してみて、こんなにも幻想的で都市論的示唆を含む作品だとは思っていなかった。
原作ゲームは未プレイなのだが、アニメ『CLANNAD』(第1期)および『CLANNAD~AFTER STORY~』(第2期)の物語のテーマの大きな骨子となるキーワードは、ひとつに、変わるものと変わらないもの(そして変わらずにはいられないもの)であるだろう。
そのことは、第1期冒頭の(そして折に触れて繰り返される)古川渚の劇中劇の台詞にも明示されている。
「この学校は好きですか?私はとってもとっても好きです。でも、何もかも変わらずにはいられないです。楽しいこととか嬉しいこととか全部、全部変わらずにはいられないです。それでもこの場所が好きでいられますか?」
それに対して主人公・岡崎智也は次のようにこたえる。
「見つければいいだろう。次の楽しいこととか嬉しいことを見つければいいだけだろう。ほら、行こうぜ。」
この何気ない応答の台詞は今後のストーリーにおいて他でもない智也自身が痛感することになる。
都市論的には、郊外の再開発時期と主人公の成長の対比がある。
主人公の心情と舞台となる町。
両者の変化が連動するストーリー展開。
物語の舞台となっている町はさして大きな建物もなく住宅の立ち並ぶ郊外だが(そしておそらくはすべてのロケーションに“聖地”となっているモデルがある)、田舎から出てきた中学生が都会的だと感じる程度には繁華で(第1期春原兄妹編で言及される)、休日に若者がショッピングを楽しむことのできる規模の商店街や不良がたむろするような歓楽店の並ぶ区画もある。
だが、ひとの噂が瞬く間に広がってしまう程度には小さな町(実際、第2期で主人公の父親が警察に捕まった際には即日彼の働き口に影響が出ている)。
第1期冒頭では空き地の光景が目立ち、いかにも何もない町が特徴的に、しかし取り立てて強調されることなく描写される。
それはOPで曲を背景に流れていく断片的な町のショットからも印象づけられる。
一方、主人公が高校を卒業し、就職し、家族を見つけていく第2期では、緑地に大きな病院の建設される話が取りざたされ(物語終盤ではすでに病院が出来上がっている)、通学路の雑木林はファミリーレストランになり、学園編の主要舞台となった高校の旧校舎が取り壊されるという話が出ている。
それら町の変化に対する主人公の動揺。
周囲と自分自身の変化をどのように折り合いをつけ、受け入れていくのか。
物語が進むにつれて都市論的な演出が目立っていくが(とくに第2期において)、京都アニメーションの緻密なロケーション描写がそれを際立させている。
幻想性という点では、ひとつに、現実世界とそれに並行する隠された幻想世界のようすがたびたび差し挟まれるストーリー、またひとつに、幽霊とも生霊ともつかない自在なキャラクターである伊吹風子の存在の、おおきく2つが挙げられるだろう。
どこまでが夢でどこまでが現実なのか。
そしてどこまでがこの世界で起こった出来事なのか。
それがずばりはっきりとは示されず、曖昧な部分を残すような見せ方が不思議な世界観を成り立たせている。
最終回では智也と渚と汐、そして町のひとびとの幸せな日常が映し出されるが、その光景がセリフなしのダイジェストで流れるところも幻想的魅力を増す。
――果してこの幸せな世界は本当に起こった出来事なのだろうか?
そういう不安がよぎる。
もちろんその後の「総集編」において、主人公の回想というかたちで最終回ラストはきちんと悲劇が回避された世界線であることが語られるものの、いったいどこまでが“ありえた世界”なのか? という独特の余韻を残す構成となっている。
物語の締めくくりを飾るのが、現実世界パートにおいてもっとも幻想度の高いキャラクターといえる伊吹風子の再登場というのも象徴的だ。
しかもそのラストはかつて幼い渚が危機に陥ったことのある緑地跡に建てられた病院の場面であるというのも、この物語が何を乗り越え、受け入れていく話であったのかを端的に指し示している。
物語の登場人物たちはみな不良だったり病弱だったりと、何かしらコミュニティからつまはじきにされていたり疎外感を感じているが、一貫してそれをすくい上げようとする視点にもグッとくる。